奥深き中国式ペンの世界 トップ選手のグリップ

中学の部活縮小とともに協会が沈んでいくのか。「がんばれ部活!」
卓球王国PLUS独占記事「今野の眼」

Text by
今野昇Noboru Konno
「中学の部活っていいものだな」。そこから多様な卓球文化が育まれていることに気づいた
正直に言おう。
私は卓球王国を創刊した頃、中学の部活が好きになれなかった。学校教育の延長線上にあり、「スポーツを楽しむ」というよりも「教育の一環」として位置づけられていることに違和感を覚えていたからだ。さらにドイツやフランスのクラブスポーツを取材すると、地域に根ざしたスポーツ活動の方にこそ本来の意味と意義があるように感じられた。
しかし長年、日本の卓球界を取材してきた中で「中学の部活っていいものだな」と思うようになった。熱心な顧問の先生も多く、そこから多様な卓球文化が育まれていることに気づいたのだ。部活によって築かれた卓球の人間関係も素晴らしいものだし、ヨーロッパとは違う「卓球文化」があった。
もっとも、日本代表や世界で戦うトップ層は、明らかにクラブスポーツ出身である。卓球の低年齢化が進み、「中学の部活動から卓球を始めた」という代表選手は今や皆無だ。ほとんどが小学校低学年、あるいは幼児期からラケットを握っている。
それでも、中学の部活動での卓球人気は依然として高い。設置率は約7割で、全国の部活動の中でも上位に入る。日本卓球協会の登録者のうち中学生は約46%(133,806人/全体290,550人)を占め、まさに競技人口の“土台”を形成しているのだ。