
【アーカイブ/Another Story】若宮三紗子/日本代表の引退を決心。難病SLEの告白
卓球王国2017年2月号掲載[アナザー・ストーリー/若宮三紗子]
[Another Story 疾走するアスリートたち]若宮三紗子(日本生命)
わかみや・みさこ
1989年6月23日生まれ、香川県出身。前陣でのスピーディーな速攻プレーで長くトップ選手として活躍。03年全日本選手権カデットの部14歳以下優勝、07年インターハイ優勝、09〜12年全日本選手権ダブルス4連覇。世界選手権ではダブルスで3度ベスト8に入った

Text by
佐藤祐Yu Sato
写真=高部大幹
photographs by Hiromoto Takabe
23歳で難病を発症、辞めるという選択肢はなかった
10月中旬、深夜に若宮三紗子からのメールが入った。
「私の病気について公表したいんです。ずっと黙っていて、応援してくれていた人たちに本当のことを言えなくて、嘘をついているみたいで心苦しくて、申し訳ない気持ちだった」
試合会場ではいつも明るく、ナショナルチーム(NT)の中ではお姉さん的な役割で、チームをまとめていた若宮。その彼女が重い病気を抱えていたとは誰もが想像できなかっただろう。病気の確定診断を受けたのは2012年、23歳の時。それから4年もの間、病気と戦いながら日本代表としてプレーを続けていたのだ。トップを目指すアスリートに残酷とも言える宣告によって、彼女の人生は大きく変わっていく。「今だから言えます。病気になって良かったとは思わないけど、病気と出合えて悪いことばかりじゃないなと思えるようになりました」。彼女が今、すべてを告白する。
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