
全中やインターハイを二つのカテゴリーに分けてはどうだろうか。環境の差が大きすぎるから。
卓球王国PLUS独占記事「今野の眼」
中学から有望選手の引き抜き合戦が始まり、12歳から親元を離れ、「卓球の道に進む子どもたち」がいる。
全国中学校大会、インターハイには公立校も出場することもあるが、「午後から練習」ができるようなスポーツコースを持つチームや選手、また卓球に専念できる、まるで「プロ集団」のようなチームも同じコートに立つ。
今、全国中学校大会、インターハイは極端化し、出場するチームの環境はあまりに違いすぎるのが現状だ。「強化」と「普及」、この両輪のバランスは実に難しい。

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強化を進めれば進めるほど、学校スポーツとしての普及は後退していく構造がある
同じ土俵に立ち、「小よく大を制す」がごとく、公立校が強豪私立を破るのはスポーツの醍醐味の一つである。地元の高校生が中心の県立岐阜商が、全国から選手を集める私立を倒し、甲子園の高校野球で勝ち進む姿は痛快であろう。そのような戦いに気概を覚える学校や指導者は、その道を選べばよい。しかし、あまりに環境が違いすぎるため、そもそも土俵に立つことすらためらう学校や選手、指導者も少なくないのではないか。
かつて全中やインターハイでは、地元の子どもを育てて全国で戦う学校が多かった。しかしスポーツに力を入れる私立が全国から選手を集め、「スポーツ推薦」で優遇するようになると、学校の地元性は失われ、単なるエリートチームへと変貌していった。しかも中学・高校の一貫指導体制が主流となり、選手のレベルは格段に上がった。
1992年、四天王寺中が本格的な一貫指導を始めたことは大きな転換点であった。その成功は「四天方式」と呼ばれる形で全国に広がり、日本卓球のレベル向上の礎となったことは間違いない。
一方で、全国から有望選手がエリート校に集まる、あるいはエリート校が積極的にスカウティングすることも常態化した。