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[ようこそ卓球地獄へ/たまには真面目な卓球論]中国人留学生  

卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第5章>より <その43>

 

Text & Illustration by

伊藤条太Jota Ito

中国人留学生も越境入学してくる日本の卓球エリート選手も同じようなものである

 2006年のある日の日本経済新聞のスポーツ欄に「野球留学新事情」と題する特集記事が載っていた。「野球留学」とは甲子園を目指して遠方の高校に進学することを指すのだが、近年これが行き過ぎているとして、高野連が規制に乗り出したというのだ。記事では、駒大苫小牧高の田中投手と東北高のダルビッシュ投手がそれぞれ兵庫と大阪出身であることが例に出されていた。遠方から集められた選手は地元では「外国人部隊」と呼ばれ「郷土の誇りとして応援する気にはなりにくい」のだそうだ。

 高校野球では比喩で使われる「外国人部隊」が文字どおりになってしまっているわが卓球界では、日本人の遠方入学などかえって頼もしいぐらいである。同じ現象でも比較することによってずいぶんと印象が違うものだ。

 2005年インターハイのシングルスの記録を見ると、名前で判断するかぎりでは、男子に6名、女子に10名の中国人留学生が出場していた。男子も女子も留学生はベスト4には絶対に二人しか入れないよう偏った組み合わせになっていた。驚いたことに、女子は3年連続でこういう組み合わせなのだ。特に2004年など、13名の中国人留学生のうち、ベスト16に入れるのはたった4人だけという素晴らしい組み合わせだった。日本語が不自由とはいえ、こんな組み合わせにされた中国人留学生がよく文句を言わなかったものだ。これも「公正な組み合わせ会議」の結果なのだろうからしかたがあるまい。「公正」にもいろいろあるものだ。

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