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近藤欽司[夢に向かいて]第一章 1─名電高時代の全国優勝。師、先輩、仲間との出会い 

2025年の夏に急逝した、元女子ナショナルチーム監督の近藤欽司氏の著書『夢に向かいて 〜インターハイとともに歩んだ卓球指導人生40年〜』(2004年1月発行/絶版)。日本女子監督として世界選手権でメダルを獲得。インターハイでは監督として8度の全国優勝を成し遂げた。勝てない時期があり、もがいた。大病をきっかけに、考え方を変えた──。指導に悩む人、試合で勝てない人にオススメの指導書を、王国PLUSで復刊。

Text by

近藤欽司KONDOU Kinji

※上写真:2023年 卓球王国編集部撮影

2004年1月発行『夢に向かいて』卓球王国発行

※内容はすべて2003年12月現在


はじめに

 いつの頃からか、自分が強く心に惹かれる言葉とか、いい話を聞くとメモをとるようになりました。

 素晴らしい言葉との出合いは、とてもエネルギーを感じるものです。

 「それを何かの機会に選手に話してやろう」

 それが、書き留めるようになったきっかけでした。いつも私の頭の中の、半分は卓球が占めています。アンテナを張っていると、卓球と結びつく情報に反応するのです。

 そのメモがいつの間にかずいぶんたまりました。平成十五年3月、定年というひとつの区切りを迎え、それを一冊の本にまとめてみようと思ったのです。

 私には、インターハイに特別な思いがあります。

 それを目標に一年かかって選手を育て、チームを作って大会に参加し、結果が出て反省をし、また次のインターハイに向かいます。まるで、インターハイがお正月のような感じで生活を送ってきました。インターハイを目標に、毎年、毎年、どんな指導をしたらよいのかと考え、試行錯誤を重ねながら、三十八年間やってきました。涙が止まらないような感動的な思い出もたくさんできました。また、素晴らしい恩師や選手との出会いによって、さまざまな経験を積むことができました。選手として二回、監督として三十八回、インターハイのベンチに座り、今は、「インターハイ、ありがとう!」という気持ちでいっぱいです。

 多くの選手との出会いの中には、内山京子や松本雪乃、佐藤利香といったオリンピック代表になって戦ってくれた選手もいますが、全国大会にも出ることができなかった選手もいます。結果はその年々により異なりますが、気持ちとしてはみんな、三年間、インターハイを目標に、同じように努力しました。そして、卒業して何年か経って会った時に、「やっぱり卓球していてよかった、今は結婚して主婦になったけれど、やはり白鵬で寮生活を経験してよかった」という言葉を聞くと、教師冥利というか、こういう道を選んで本当に良かった、という気持ちになります。試合結果だけでなく、寮生活を通じいろいろな経験をして、みんな人間的に成長をしてくれたなと喜びがこみあげてきます。

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