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【アーカイブ/Another Story】大矢英俊/心優しき「野獣」。その純粋な勝利への欲求

卓球王国2016年7月号掲載[アナザー・ストーリー/大矢英俊]

[Another Story 疾走するアスリートたち]大矢英俊(東京アート

おおや・ひでとし
1988(昭和63)年8月10日生まれ、三重県出身。小学1年で卓球を始め、小学6年時の全日本ホープスで優勝。青森山田中に進学し、中学3年時に全国中学校大会優勝。青森山田高を経て青森短期大に進み、06年インターハイ準優勝、07・08年度全日本選手権3位、08・09年世界選手権日本代表。東京アートに入社後はチームの中心選手として活躍し、12年全日本選手権3位、13年東京選手権優勝、14年全日本社会人複2位などの成績を残す。右シェーク両面裏ソフトドライブ型

Text by

柳澤太朗Taro Yanagisawa

ぼくにドライブの引き合いは必要ない。
ラリーをしたくないし、近道を選んで、早く決着をつけたい

 「ベンチに帰ってきて『恥ずかしい!』と思うんですよね。『……ヤバい、なんかやってたオレ?』という感じですよ」
 〝野獣王子〟の思いがけない告白である。今や全日本選手権の風物詩である、大矢英俊の勝利の咆哮(ほうこう)と大ジャンプ。彼の勝利が近づくと、「さあ出るか、もう出るか」という観客のざわめきと期待がふくらんでいくのがわかる。
 「ぼくは卓球は戦争だと思ってます。小さい頃から負けたくないという気持ちはすごかったし、めちゃくちゃ声を出してた」。試合中に自分を奮い立たせるため、意識的に声を出すこともあるが、勝利の瞬間にはすでに忘我(ぼうが)の境地にいる。
 コートを離れれば、チームメイトの誰もが認める心優しき男。「誰も大矢のことを悪く言わない、大矢も誰かのことを悪く言わない」。それが卓球界の定説になっている。

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