[伊丹の吉田を知っているか!?]吉田和也「太っていたのでシンプルに両ハンド」
近藤欽司[夢に向かいて]第二章 3─「 物を作る前に人を作る」という言葉
2025年夏に急逝した、元女子ナショナルチーム監督の近藤欽司氏の著書『夢に向かいて 〜インターハイとともに歩んだ卓球指導人生40年〜』(2004年1月発行/絶版)。日本女子監督として世界選手権でメダルを獲得。インターハイでは監督として8度の全国優勝を成し遂げた。勝てない時期があり、もがいた。大病をきっかけに、考え方を変えた──。指導に悩む人、試合で勝てない人にオススメの指導書を、王国PLUSで復刊。
Text by
近藤欽司KONDO Kinji


第二章 選手たちとの出会いと、個性の生かし方
※内容はすべて2003年12月現在
■ 「 物を作る前に人を作る」という言葉
松下電工彦根工場の仲邦男監督とは、所属する山下富美代(現姓・海津)さんが93年世界選手権イエテボリ大会の代表だった関係で、松下電工体育館で合宿をお願いしたり、また西村卓二監督(東京富士大・現NT女子監督)が主事する「富山会」の合宿で何度か一緒になったのが縁で知り合いました。選手思いの心の温かい方で、なかなか楽しいキャラクターの持ち主です。
富山会の合宿では技術訓練とあわせて、参加指導者による講演なども行っています。その講演で、ある時、仲さんが松下幸之助氏の話をされました。松下氏が創業した松下電器産業は、日常生活に必要な電化製品を作って売る会社ですが、松下氏の社員教育として「物を作る前に人を作れ」という方針があるそうです。
この方針は言葉を少し変えれば、我々指導者にも当てはまります。すなわち、「選手を作る前に選手の心を作れ」ということになります。私は仲さんの話を聞いて、この素晴らしい言葉に感銘を受けました。
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