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[世界のトップサービス ココに学べ!]ヨルジッチに学べ!

卓球王国2025年12月号掲載[世界のトップサービス ココに学べ!]Vol.3

ルールや用具変更の影響を受けながら、日々進化するトップ選手のサービス。将来の技術の潮流になっていく、最先端のテクニックを偉関晴光氏が解説する。サービスの、そして卓球の未来がここにある!
解説=偉関晴光[88年五輪複金メダル・全日本選手権優勝4回]

これが現代卓球の最先端だ  
世界のトップサービス ココに学べ!

Text by
偉関晴光Seiko Iseki

レシーブを誘導するバックサービスをヨルジッチに学べ!

コントロール抜群のハーフロングサービスで対戦相手のレシーブを誘導する

バックハンドが強いヨルジッチ(スロベニア)は、バックサービスで相手のレシーブを誘導するシステムの完成度が高い。上連続写真❻を見るとわかるようにバックサービスはネットをギリギリで通過する高さで、低く正確にコントロール。右利きの相手のフォアへ曲がりながら、サイドを切っていく左横回転のサービスで、台からわずかに出るハーフロングの長さで出す。

 対戦相手はフォアでクロスにレシーブするのは角度が出しにくく、浮きやすいためにレシーブがバックに集まり、ヨルジッチは強力な3球目バックドライブで狙い打つ。打球点を落としてループドライブでレシーブしてきた場合は、クロスに集まるのでフォアのカウンターで狙う。

 対戦相手はチキータでレシーブしたいところだが、サイドを切ってくるのでそれも難しく、浮くのを覚悟でフォアツッツキでクロスにレシーブしている(❾)。バックサービスを使うのは3球目をバックで強打できることが条件だが、使い手が少ない希少性がある。日本からもバックが強く、バックサービス主戦の選手が出てくると面白い。

▼ヨルジッチ(スロベニア)バックサービス

バックサービスもインパクトは肩に近いライン
 ▲非常に低くコントロールされている
 ▲右利きのフォアサイドへ曲がりながら沈む
相手は浮くのを覚悟でフォアへのツッツキを選択

▼オフチャロフ(ドイツ)バックサービス

対戦相手のフォアへの動きを視野に入れる
逆を突いて相手のバックに出す
バックへの回り込む相手を見てストレートへ打球

対戦相手の動き全体を視野に入れ、多彩なコースに出し分ける。直前でコース変更、オフチャロフのバックサービス

バックサービスの使い手として知られるオフチャロフ(ドイツ)。打球直前にコースを変え、相手の逆を突くことができるのが彼のバックサービスの真骨頂だ。

 上連続写真❶でバックサービスのトスを上げたオフチャロフ。ボール越しに、対戦相手(林昀儒)がフォアへ移動してチキータを狙っていることを視野に入れ、相手のバックへコースを変更。相手は逆を突かれ、安全なバックツッツキでのレシーブになった。オフチャロフは3球目でも、バックサイドに回り込んでカウンターを狙う相手の逆を突き、打球点を落としながらもストレートを攻めている。

 相手のわずかな動きを察知して瞬時にコースを変える、トップ選手ならではの技と言えるだろう。