宇田幸矢「周りが結果を出しても『自分は自分』。自分が目指しているものだけに集中していきたい」
卓球王国2026年1月号掲載/宇田幸矢インタビュー前編

10月の中国スマッシュで強豪を次々と破り、ベスト8に入った宇田幸矢。不調の時期もあったが、焦らず積み上げてきたものがようやく実を結んだ。大会での戦いと、そこまでの歩みを語ってもらった。
やっと「自分のものにできた感覚」というか、そういうものがありました
──少し時間が経ちましたが、中国スマッシュでのプレーが印象的でした。大会を振り返って、ご自身のパフォーマンスをどう評価していますか?
宇田幸矢(以下・宇田) 出場する大会で安定してベスト16に入れるようになれたらいいなと思えたのが、ひとつ前のヨーロッパスマッシュでした。今回、そのひとつ上のベスト8に行けて、林昀儒選手(チャイニーズタイペイ)、モーレゴード選手(スウェーデン)に勝てたのは自信になりました。今までやってきたことの成果が出せた感じがしましたね。
──今までやってきたこととは?
宇田 課題だったバックハンドと、ツッツキやストップなどの台上技術です。ぼくはチキータが持ち味で、ツッツキやストップはあくまで「チキータができなくて困ったからする」という感覚でした。ですが、今大会ではツッツキやストップでも点数につなげられていた。今まではチキータができなかったら、こっちの戦術として少し困るし、我慢しないと点数が取れない状態でしたが、チキータができない状況でも点数を取ることができるようになった。戦術の幅も広がったし、チキータをいきたい時にしっかり狙えるようになりましたね。
──2回戦では林昀儒選手にフルゲームで勝利しました。勝てるイメージはありましたか?
宇田 直近の試合では負けていて、2、3年前にもやって負けているし、Tリーグでも負けていました。その時もストレート負け。でも、対策もしていたし、もちろん勝ちを意識していました。
ぼくは練習でできている技を、いざ競った場面で使おうとするとミスしてしまうというのがヨーロッパスマッシュの前まで続いていました。良くなっているけど試合でできないという状況が続いていて、それを克服したかった。林昀儒戦ではそこを頑張ってやってみようと思ったんです。
1点取られたら流れが相手にいく可能性もあったし、0-3で負ける可能性もあったけど、自信を持ってやってみたら意外といけた。バック対バックとか、前回対戦した時にはノーチャンスだったけど、今回は勝負できている感覚がありました。ただ、2-0になって、まくられる可能性はあるというのはどこかで思いながらプレーしていました。
──実際、ゲームカウント2-0リードから2-2に追いつかれました。どういう心境でしたか?
宇田 まあ、どう考えてもヤバいですよね(笑)。でも、点数的にはヤバいんだけど、途中でハマり出したというか……。

