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近藤欽司[夢に向かいて]第四章 5 ─ 人間味のある選手を育てる

2025年夏に急逝した、元女子ナショナルチーム監督の近藤欽司氏の著書『夢に向かいて 〜インターハイとともに歩んだ卓球指導人生40年〜』(2004年2月発行/絶版)。日本女子監督として世界選手権でメダルを獲得。インターハイでは監督として8度の全国優勝を成し遂げた。勝てない時期があり、もがいた。大病をきっかけに、考え方を変えた──。指導に悩む人、試合で勝てない人にオススメの指導書を、王国PLUSで復刊。

Text by

近藤欽司KONDOU Kinji

2001年世界選手権での高田(左)と羽佳。一流選手というのは技だけでなく人間として一流のものを持っていると感銘を受けた

第四章 〜指導術その一〜 インターハイに向けたチーム作り

※内容はすべて2003年12月現在

■ インターハイが終わってからの必要不可欠な三年生の協力

 インターハイが終わると、下級生が来年のインターハイに向けてスタートします。三年生は国民体育大会や全日本選手権がありますが、練習の主役から一歩後退します。ほとんどが卓球の関係で大学に進学したり、就職したりしますが、インターハイが終わったらコーチの役割を果たしてもらいます。練習時間の半分は自分の将来に向けてやりたい練習に取り組み、残りの半分は、自分が三年間で培った良い部分を下級生に伝授してもらいます。ひとりの三年生に対し二、三人の下級生がグループを組み、テーマを決めて練習します。

 三年生は、卒業後も卓球を続けます。インターハイ後、部活動を引退して脇道にそれたり、練習をしなくなって実力が低下し、結局大学に入学する頃には力が落ちてしまったという話をよく聞きますが、それでは大学に対して失礼です。しかも、大学生になったらまた一年生になっていろいろ教わるわけですから、卒業するまでのこの時期に教える経験をしておくと、のちに役立つのです。

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