【中国卓球春秋】ピンポン外交の裏で、繰り返された観客席での騒動。選手はそれを望むのか?
松島輝空 「確信の現在地」(後編)
卓球王国2026年2月号掲載
世界の強者と対峙していく中で、手応えの断片が線となり、輪郭を結んでいく。 梁靖崑、王楚欽との激闘で得た自信と、WTTチャンピオンズでの初優勝。 18歳の松島輝空は、積み重ねた充実の先で世界の頂を見据えている。
Interview by
中川 学Manabu Nakagawa

まつしま・そら 2007年4月29日生まれ、京都府出身。卓球一家で生まれ育ち、2歳から卓球を始める。全日本選手権のバンビ・カブ・ホープスで6連覇を達成。21年世界ユースU15でシングルス、男子ダブルス、混合ダブルスで優勝し、3冠。21年全中で優勝、24年全日本ジュニア優勝、25年1月の全日本選手権では17歳でシングルス初優勝。25年11月のWTTチャンピオンズ フランクフルトで初優勝。世界ランキング8位(12月9日現在)。木下グループ所属
「自分の実力が出せてタイトルを獲れたという意味では、ちょうどいいタイミングだったと思っています」
大会直前のラバー変更という大胆な決断から始まった、松島輝空の快進撃。9月下旬のWTTチャイナスマッシュから、11月のWTTチャンピオンズ フランクフルトまで、アジア選手権を含む5大会を戦い抜き、松島は世界トップ10の扉をこじ開けた。 中国トップを破って得た自信を武器に、チャンピオンズで初優勝を飾るまでに至った背景には何があったのか。技術、戦術、そして精神面で大きな変化を遂げた18歳の雄が、激動の2カ月間を振り返る。
●――その後も休みなく、WTTの3大会が続きました。体力面でも大変だったと思いますが、スターコンテンダー ロンドンを振り返ってもらえますか。1回戦でグナナセカラン(インド)、2回戦でプツァル(クロアチア)をストレートで下して、準々決勝で林昀儒(チャイニーズタイペイ)に2―3で負けました。 松島輝空(以下・松島) 1、2回戦の相手には、過去の対戦と今の自分の実力から、自滅しない限りは負ける気がしませんでした。林昀儒はTリーグのチームメイトなので練習することも多いのですが、自分としては苦手意識のある選手で、林昀儒からは「やりやすい」と言われています。それでも最近のお互いの成績を見ればチャンスはあるかなと思っていました。 0―2から2―2に追いついて、最後は8―11で負けました。最後に自分のプレーが乱れてしまったけれど、次は勝てるというイメージを持つことができました。以前の自分だったら追いつけずにそのまま負けていたと思うので、粘れるようになった部分も成長できていると感じることができました。

