Another Story 馬文婷/前編「人生卓球ですね。全部、卓球から幸せをもらいました」
卓球王国2026年2月号掲載「Another Story」
日本リーグ女子2部の広島日野自動車に所属する馬文婷(マ・ウェンティン)は、今年で入社13年目。日本リーグ女子では最年長の35歳、日本リーグでは1・2部合わせて60勝を記録している。
中国・天津出身ながら、ノルウェー代表としてITTFワールドジュニアサーキットで数々の優勝歴を誇り、さらにジャパンオープンなどのワールドツアーにも出場。日本リーグだけでなく、スウェーデンリーグやポーランドリーグでもプレーした経験を持つ。
チームメイトに愛される「馬さん」の卓球人生は、聞けば聞くほど壮大でドラマチックだ。
■Profile 馬文婷 マ・ウェンティン
1990年9月27日生まれ、中国・天津市出身。5歳から卓球を始め、中学1年時に来日して全国中学校大会に出場。15歳でノルウェーに渡り、ノルウェー代表としてITTFワールドジュニアサーキットやワールドツアーに出場しながら、日本大に進学して卒業後は広島日野自動車に入社。日本リーグでは1部で20勝、2部で40勝を挙げている
Text by Taro Yanagisawa

天津市の大会で優勝して、母が私の練習に力を入れるようになった。たくさんお金がかかるから、両親は費用を稼ぐためにノルウェーに行きました
11月12~16日に行われた後期日本リーグ埼玉大会。女子2部の試合が行われるフロアに、ひと際鋭い眼光で相手を見据える選手がいた。
広島日野自動車の馬文婷。「常在戦場」の雰囲気を漂わせるその厳しい表情は、一見して周囲に近寄りがたい印象を与える。しかし、チームの監督兼選手である三輪咲里南は、7歳年上の馬についてこう語る。
「みんなとコミュニケーションを取るのがうまくて、おしゃべりが大好きですごく優しいです。でも練習になると集中力が人一倍高くて、試合と同じ雰囲気でボールを打っている。そこはすごく尊敬していますね」
ラケットを握るとピリッと集中、しかしコートの外ではどこか「癒し系」。そんな彼女に惹かれ、広島日野自動車を応援するファンの中には、日本全国どの大会にも足を運ぶ「馬さん推し」がいるほどだという。
実はコートに立つ彼女を見るのは、2018年に福岡・北九州で行われたジャパンオープン以来だった。彼女はその大会にノルウェー代表として出場していた。

