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[ようこそ卓球地獄へ/卓球映像評論]映画『ピンポン』

卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第6章>より <その55>

 

Text & Illustration by

伊藤条太Jota Ito

なにしろ豪華スタッフによる卓球がテーマの映画である。冷静になど見ていられない

 2002年夏のある暑い日、私は休暇をとって映画館に向かった。公開中の映画『ピンポン』を見るためだ。なにしろ豪華スタッフによる卓球がテーマの映画である。冷静になど見ていられない。卓球はどのように描かれているのか、一般人の目に卓球はどう映るのか、そう考えると、まるで自分がこの映画を作ったような気になって緊張してしまうのだから、ほとんど病気である。

 見始めると、卓球を知っているがゆえに細かいところが気になる。ペコのグリップの削りと汚れが足りないとか、インパクトのラケットの角度がおかしいとか、カットボールなのに前進回転がかかってるとか、部員の学生服姿が多すぎるとか(卓球部員は朝から晩までジャージだ)、誰も「サッ」って言ってないとか(無理もないが)、ストーリーに関係のないどうでもよいことばかりに目が行き、なかなか入り込めない。いっそ、卓球のことなどすべて忘れてこの映画を見たい、などと本末転倒なことを考える始末である。

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