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[ようこそ卓球地獄へ/卓球映像評論]究極の卓球映像

卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第6章>より <その57>

 

Text & Illustration by

伊藤条太Jota Ito

「チンチキチンチキ」という独特のBGMと「キュキュキュッ」というシューズが擦れる音を聞くだけで興奮

 私の卓球人生に決定的な影響を与えた一本の映像作品がある。アメリカのリフレックス・スポーツ社が1991年に発売したスーパープレー集ビデオ『The Wonderful and Wacky World of Table Tennis』だ。幕張での世界選手権の売店で見たのが最初だった。アペルグレンのロビングに江加良の超絶カウンター、リ・グンサンの殺人カットと、次から次へと繰り広げられる信じがたい映像に、文字どおり私の目は釘付けになった。今ならそんなビデオ、問答無用で買うに決まっているのだが、当時はまだグズグズしており、買った先輩からダビングをしてもらったのだった(その後、オリジナルもDVDも続編もすべて買ったので許してもらいたい)。

 このビデオが、見始めると止まらないビデオだったのだ。手に入れて1年くらいは、家ではもちろん、会社の昼休みにも毎日とり憑かれたように見ていたから500回は見ただろう。あまりにしょっちゅう見るので、しまいには音を出すだけで妻に「それだけは勘弁して」とお願いをされるようになった。ある後輩は300回は見たと言っていた。なぜこんなにも面白いのかといえば、面白く見えるように労力をかけて作られているからだ。一見当り前のようだがそうではない。当時も今も、記録や教育を目的とした作品はあっても、純粋に娯楽を目的とした卓球の映像作品はほとんどないのだ。

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