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[ようこそ卓球地獄へ/卓球映像評論]DVD『ザ・ファイナル』
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第6章>より <その59>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
両手で今野さんの手を握り締めたのであった。「やめてよ気持ち悪い」と言われたことは言うまでもない
それは2012年世界選手権ドルトムント大会の帰りの飛行機の中でのことだった。私は今野編集長の隣に座り、お互いに気ままに話しかけては相手が映画を見たり寝たりするのを邪魔し合っていたのだったが、いつしか私は卓球の映像作品について持論をぶちかましていた。テレビ放送はカメラ位置が悪い、卓球の魅力を表現できている映像作品が日本にはない、素晴らしいプレーを後世に残さないのは卓球文化の損失だ、というようなことだ。
渋い表情で(地顔だと思うが)しばらく聞いていた今野さんは「じゃ、条太さん、自分で作ってみる? 来年の全日本で」と言った。話の流れからすると、文句ばかり言う私の口封じとも取れる言葉だったが、以前から映像作品を作りたいと思っていた私は直ちにこれを本気にし「ありがとうございます!」といって両手で今野さんの手を握り締めたのであった。「やめてよ気持ち悪い」と言われたことは言うまでもない。
今野さんはその場で「タイトルは“ザ・ファイナル”にします」と言った。もともとせっかちな人ではあるが、なんという決断の早さだろうと感心した。しかし最近聞いた話では、以前から作ろうとしてタイトルを考えていたそうで、これは感心損であった。

