張本美和(前編)「もし優勝できたらどんな気持ちになるんだろう、どんな景色が見えるんだろうと想像していました」
卓球王国2026年4月号掲載

ALL JAPAN CHAMPION’S INTERVIEW
HARIMOTO Miwa
張本美和 木下グループ
大会が始まる前から、張本美和は思い描いていた。コートの中央で皇后杯を手にする自分の姿を。
3度目の決勝でついに手にした全日本チャンピオンの称号。
17歳の新女王は重圧と不安をどう乗り越え、頂点に辿り着いたのか。
その言葉から、勝利の核心に迫る。
◆ はりもと・みわ
2008年6月16日生まれ、宮城県出身。元中国代表の両親の影響で2歳でラケットを握る。小学生時代に全日本選手権のバンビ・カブ・ホープスで優勝し、中学1年で全国中学校大会で優勝。2021年世界ユース選手権ではU15で4冠を達成。初出場となったパリ五輪では女子団体で銀メダルを獲得。24・25年全日本選手権2位。26年全日本選手権でシングルス初優勝を飾るとともに、ジュニア、女子ダブルス、混合ダブルスの4冠を達成した。右シェーク両面裏ソフトドライブ型、木下グループ所属。世界ランキング6位(2026年2月9日現在)
Interview by

「本当に、あの最後のゲームが人生で初めてのゾーンです。あんなに振った試合は今までなかったです」
あの時、東京体育館の時計が止まったかのように感じられたのは、決して錯覚ではなかった。
女子シングルス決勝、6ゲーム目。女王・早田ひなをあと一点まで追い詰めながら、掌からこぼれ落ちていった勝利。直後のベンチで、張本美和の思考の糸はぷつりと切れた。
退路を断たれた土壇場で、17歳の少女は「考えること」を捨てた。無意識のままに振り抜いたフォアドライブが白線を捉えた瞬間、戸惑いは「ゾーン」へと変貌を遂げる。
覚醒した新女王が、皇后杯の重みとともに見つめた「新しい景色」。その正体に迫る。
◇◇
●─女子シングルスで初優勝、ジュニアで4連覇を達成した今大会を振り返ると、どんな大会でしたか?
張本美和(以下・美和) 全日本が始まる前から、コート上で皇后杯を持たせていただく姿とか、優勝する自分の姿をいくつかイメージしていたんです。それを実現するために、「勝たないといけない」という思いもすごく強くて。実際にそれが叶えられたので、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。

