[特集・石川佳純]2015年、敗れざる者、されど苦しむ。「思った以上に相手は向かってきた。これが1年前の自分だったら耐えられなかった」
卓球王国2015年4月号掲載 石川佳純●全農 <後編>
2014年は世界選手権でエースとしてチームを牽引し、12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルで優勝を達成。そして翌2015年の1月に迎えた全日本選手権で三冠王を達成した。石川の卓球人生は充実の時期を迎えていた。世界ランキングも3位まで上り詰め、その視界には翌2016年のリオ五輪が明確に映し出されていた。
石川佳純●いしかわ・かすみ
1993年2月23日生まれ、山口県出身。四天王寺高卒、全農所属。13歳の時に全日本選手権でベスト4入り、平成22年度全日本選手権で初優勝。平成25年度・26年度の同大会で2連覇して、通算3度目の優勝を果たし、26年度は女子では54年ぶりの三冠王となった。09年世界選手権ではシングルスベスト8、12年ロンドン五輪では団体銀メダルを獲得し、シングルスでも日本人初の準決勝進出を果たした。2014年ITTFワールドツアー・グランドファイナル優勝。世界ランキング4位(15年2月当時)
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技術的にも精神的にも去年よりは強かったから乗り越えられた。だからこそ、3種目とも戦えたのかなと思います
女子では山泉和子(現姓伊藤)以来、半世紀以上達成されなかった三冠王。男女合わせても齋藤清以来、31年ぶりの快挙を達成した石川佳純。世界のトップ集団のひとりとして、日本女子を牽引する女王は、まだ21歳。それなのに決勝の森薗戦以外はすべて年下の挑戦を受けた。優勝後の会見では「ここまで向かってこられるのは初めてです。『え、こんなに(向かってくるのか)』と思ったほどだったし、自分でも思った以上にプレッシャーを感じていた」と語った。
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●―準決勝の激闘の後、決勝まで少し時間がありました。相手は同級生の森薗選手でした。
石川 準決勝であれだけ苦しい試合をしたし、時間も空いてたから決勝まではしっかり準備ができました。相手が誰であっても自分との戦いだし、冷静に一球一球落ち着いてやろうと思いました。