[フランス革命]常識なきルブラン卓球の秘密。自由なる創造者、ルブラン兄弟
卓球王国2025年3月号掲載vol.1 ルブラン兄弟インタビュー<前編>
今、世界の卓球を変えようとしているのは明らかにフランスである。1年前の世界選手権(団体戦)釜山大会では27年ぶりの決勝進出。
そしてパリ五輪では男子シングルスと男子団体で2個のメダルを獲得。その常識を覆す練習方法と発想は、まさに「フランス革命」だ。ルブラン兄弟とナタナエル・モランコーチのインタビューをとおしてフランスの強さの秘密に迫った。
Photo 中川学/Remy Gros ITTF
Interview by
[自由なる創造者]ルブラン兄弟インタビュー
世界の卓球を変えようとしている21歳の兄アレクシスと、18歳の弟フェリックス。パリを熱くさせた二人は、あの暑い夏の出来事と、自分たちの卓球を語ってくれた。
Alexis LEBRUN [FRANCE]
世界14位 パリ五輪メダリスト、ヨーロッパチャンピオン
アレクシス・ルブラン
2003年8月27日生まれ、フランス・モンペリエ出身。24年世界選手権団体銀メダル、パリ五輪男子団体銅メダルを獲得、ヨーロッパ選手権の男子単複で優勝、WTTファイナルズ福岡・男子複優勝、世界ランキング14位(25年1月10日現在)、フランス・モンペリエ卓球クラブ所属
Felix LEBRUN [FRANCE]
世界4位 パリ五輪メダリスト
フェリックス・ルブラン
2006年9月12日生まれ、フランス・モンペリエ出身。23年ヨーロッパ競技大会男子単優勝、24年世界選手権団体銀メダル、パリ五輪男子単・団体銅メダルを獲得、WTTチャンピオンズ・モンペリエ優勝、WTTファイナルズ福岡・男子複優勝、世界ランキング4位(25年1月10日現在)、フランス・モンペリエ卓球クラブ所属
メダルを目指していたけど、現実としてオリンピック直前に本当にメダルが獲れるとは思っていなかった部分もある︱Alexis
パリ五輪の男子団体では日本の前に立ちはだかったフランス。その中心にいたのはアレクシスとフェリックスのルブラン兄弟だ。
2022年11月にインタビューした時にはアレクシスが世界ランキング28位で、フェリックスは80位だった。しかし、23年以降、フェリックスは急激に力をつけ、世界ランキングを一桁とし、パリ五輪では銅メダルを獲得。アレクシスは五輪後のヨーロッパ選手権で優勝を果たすなど、兄弟の勢いはとどまるところを知らない。
そのユニークな思考方法はインタビューで垣間見えた。キーワードは「創造性」と「卓球を楽しむこと」だ。
◇◇
●ー24年2月の世界選手権釜山大会で、フランスチームは男子団体で27年ぶりの決勝進出を決め、パリ五輪は期待の大きさで重圧を感じたのでは?
フェリックス・ルブラン(以下・FL) もちろん重圧はあったけど、ぼくらは合宿で一緒に練習し、チームメイトと楽しみながら準備して「チームフランス」として自分たちのゲームに自信を持つことができた。
パリでは卓球を楽しみたかった。大会の最初は誰でもプレッシャーを感じながら緊張すると思うけど、4年に1回のビッグイベントだから平常心を保つのは難しかった。ベストを尽くすことを心がけた。