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木材ラケットの奥深き魅力〈3〉愛すべき木材ラケット・ロングセラー

卓球王国2025年4月号掲載

卓球はスピードと飛距離を競うスポーツではない。ボールをコントロールし、相手コートに一球でも多く返す選手が勝利者だ。だからこそ、カーボンなどの特殊素材ラケットにはないナチュラルな木の打球感を持つ、木材ラケットは滅びることはない。

VICTAS スワット 一世を風靡した燻製木材ラケット

 木材を燻製し、木の内部の水分を飛ばす加工方法を用いたことで重量を軽めに、かつ硬くしたラケットが、2010年にTSP(現VICTAS)から発売された7枚合板『スワット』。現在、特殊素材搭載モデルを含めると7種類のラインナップを持つVICTASのアイコン的なラケットだ。

 7枚合板なのに5枚合板のような操作性を持ち、当時は4,800円(税抜)という驚きの価格で市場に登場し、空前のヒット商品となった。木材ラケットとしては『スワット パワー』『スワット スピード』『スワット 5PW』『スワット キッズ』と全部で5機種がリリースされた。

 デザイン的にはTSP時代のほうが個性的で、スワットらしく、VICTAS仕様になったことで見た目の個性は弱くなったが、今でも初級者から上級者まで愛されている。

[VICTAS] スワット


▶7枚合板
▶板厚:6.0㎜
▶重さ:85g±
▶7,150円(税込)
Made in China

スティガ クリッパーウッド 木材を知り尽くし、木材を愛するスウェーデン職人が作る

 『クリッパーウッド』(以下クリッパー)の発売は驚くなかれ、44年前の1981年だ。卓球界でも珠玉の名作と言われる所以は、その変わらぬ美しさだろう。表面の美しさ、気品のあるグリップと、ひと目で『クリッパー』とわかるワンポイントの真紅のウッド。世界の卓球ファンに愛され続ける7枚合板だ。

 発売当初は「木材による最速・強弾性」がコンセプトで、使う人を選ぶラケットだったが、96年アトランタ五輪、99年世界選手権で同ラケットを使用した劉国梁が優勝すると、多くの中国選手が使用することになった。特殊素材ラケットが流行しても、そのナチュラルで強い打球感を求める選手たちは後を絶たない。

[スティガ] クリッパーウッド

▶7枚合板
▶板厚:6.5㎜
▶重さ:92g±
▶14,850円(税込)
Made in Sweden

ヤサカ 馬林エキストラスペシャル 五輪金メダリストの馬琳が監修。中国&スウェーデンのスペシャルコラボ

 2008年北京五輪の金メダリストの馬琳(商品名では馬林)の名前を冠した『馬林』シリーズ。06年に『馬林カーボン』、09年に5枚合板の『馬林エキストラオフェンシブ』、12年に『馬林エキストラスペシャル』がそれぞれリリースされ、ペンホルダー部門で「卓球王国ベストギア・オブ・ザ・イヤー」を3回受賞。

 先に発売された『馬林エキストラオフェンシブ』は5枚合板で、スウェーデン製ラケット特有の打球感の良さと安定感を保持していたが、この『馬林エキストラスペシャル』は7枚合板でパワーアップをしながらも、木材ラケットのコントロールの良さを失っていない。『馬林』シリーズはすべて、現在、女子中国代表監督の馬琳氏が監修。チャンピオンならではの妥協しないチョイスをした。

 ちなみにラケット名が馬琳ではなく、馬林となったのは、琳という字が女性の名前に使われることが多いため、本人の希望で「馬林」になった。

 [ヤサカ] 馬林エキストラスペシャル

▶7枚合板
▶板厚:6.3㎜
▶重さ:92g±
▶10,450円(税込)
Made in Sweden

ニッタク 剛力 守備型から攻撃型までをカバーする唯一無二の存在感

 ラケットというのは卓球市場では必ず類似品のようなものが存在するのだが、この『剛力』だけは異彩を放っている。数多くのチャンピオンを育てた作馬六郎氏の監修で、『剛力ジュニア』『剛力男子』『剛力スーパードライブ』『剛力スーパーカット』とラインナップが揃っているが、個性が際立ち、今風に言えば「キャラ立ち」がすごい。

 特に『剛力』は異質攻撃型やカット型の選手から支持され、橋本帆乃香選手が愛用している。表面や中芯でも使用される硬質なウォールナットがこのラケットの特徴だ。板厚が4.9mmと薄くても、重さは100g前後。これが独特の打球感を生んでいる。特殊製法ゆえに値段もそれなりだが、十分に価値があるラケットだ。

[ニッタク] 剛力

▶7枚合板
▶板厚:4.9㎜
▶重さ:100g±
▶36,300円(税込)
Made in Japan