[偉関晴光&絹子]来日して34年、世界を極めた男とその妻が中国と日本を語る

卓球マニア養成ギブス[ようこそ卓球地獄へ]連載を始めるまで
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第2章 卓球・卓球・卓球>より<その16>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
場外乱闘活動のひとつに“卓球本収集”があった。日本で発売された卓球本を一冊残らず集めて威張ってやろうと思った
私は卓球選手としても指導者としても実績はないしプロの文筆家でもない。ただの熱心な卓球ファンである。そんな私が、どうして卓球王国で連載などしているのかと度々(たびたび)聞かれることがあるので、今回はそのあたりの経緯を振り返ってみたい。
もともと私は卓球について語ることが好きではあった。相手かまわず議論をふっかけるので部の後輩たちは目を合わせないようにしていたし、家では卓球に興味のない妻を隣の部屋まで追いかけて話を続けて嫌がられていた。あげくに卓球雑誌を見ては「どうして俺が載る機会はないんだ?」と何の実績もないのに思っていたのだから完全に病気である。こういう傾向は、卓球で戦績が残せなくなった大学時代後半から顕著(けんちょ)になったから、実技で目立てないための代償行為だったのだと思う。