
【アーカイブ石川佳純】2017年世界混合複優勝! 吉村真晴/石川佳純 「君が代が流れて、一番上は特別だな、世界一ってすごいんだなと感動しました」(石川)
卓球王国2017年8月号掲載
2017年に開催された世界選手権デュッセルドルフ大会(ドイツ)で吉村真晴/石川佳純の混合ダブルスがついに世界の頂点に立った。1969年の長谷川信彦/今野安子以来の48年ぶりの混合ダブルスの世界優勝だった。

沸いた! 泣いた! 感動した!
マハルとカスミがつかんだ48年ぶりの金メダル
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世界卓球2017 混合ダブルス優勝<吉村真晴/石川佳純> 意外性と強打の黄金ペアが銀メダルを超えた
表彰台の一番高みに立った吉村真晴は、「これが1位と2位の差かと、世界チャンピオンのすごみを実感しました」と表現した。
2年前の銀メダルペアに課せられたのは「金メダル」。周りからの期待以上にふたりは自分たちのミッションとして胸に刻み、時に口に出して自分たちを鼓舞した。
しかし、金メダル獲得までの道のりはまさに茨の道だった。準決勝の方博/ゾルヤ(中国/ドイツ)には1︱3とゲームをリードされ、ピンチを迎えた。方博の強打をどう封じるのか。試合中でも二人はコミュニケーションを欠かさず、今までの経験と大会に向けて積んできた練習が生かされ、逆転の糸口を見つけ出した。
間違いなく、この大会でもっともお互いを知り、常に戦術を話し合い、そして励まし合ったペアだった。決勝の陳建安/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)に対しても、準決勝同様に勝利に王手をかけられた日本ペア。勝負所となった6ゲーム目の10︱9で、石川佳純のサインは陳のフォアへのフリック。一瞬たじろいだ吉村が「任せてくれますか」と聞くと、「任せるよ、入るから大丈夫」と石川が背中を押した。そして吉村が陳のフォアに絶妙のフリックを決めた。最終ゲームはその勢いで二人は金メダルに突き進んだ。
卓球の世界選手権で、国旗と国歌が使われるようになったのは1985年以降のことだ。そして、今大会、その世界の舞台で初めて日の丸が真ん中に揚がり、君が代が流れた。日本の卓球人の夢が叶った瞬間だった。
<吉村真晴/石川佳純ペア 混合ダブルスのスコア>
1回戦 8, 4, 5, 1. ハニン/トリゴロス(ベラルーシ)
2回戦 4, 7, 4, -11, -8, 9. カンテロ/シャオ・マリア(スペイン)
3回戦 -4, 7, 8, 11, 6 パク・シンヒョク/リ・ヒョンシム(北朝鮮)
準々決勝 11, 3, 5, -8, 6. 李尚洙/梁夏銀(韓国)
準決勝 -11, -12, 5, -6, 5, 7, 5. 方博/ゾルヤ(中国/ドイツ)
決 勝 -8, -8, 8, -10, 4, 9, 5. 陳建安/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)

「君が代が流れて、一番上は特別だな、世界一ってすごいんだなと感動しました」(石川)
銀メダルじゃダメという気持ちでした。銀だと絶対納得できない。 金と銀じゃ全然違いますから(石川)
48年ぶりの金メダルを獲得した吉村真晴と石川佳純の混合ダブルス。互いに信頼を寄せ合う二人は、窮地に追いやられても強気のプレーを貫き、世界の頂点に立った。世界選手権の表彰式で君が代が流れたのは、これが初めてのことだ。
歴史に名を刻んだ吉村と石川。6月3日の優勝の2日後にインタビューをした。
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●ー金メダルから2日ほど経ちましたが、実感は?
石川 たくさんの方にお祝いメールとかをもらって、「ああ、優勝できたんだ」と実感してます。でも、勝った瞬間が一番うれしかった。
吉村 勝った瞬間に、「ああ、すごいこと、やっちまったな」と。金メダルを目指してやってきて、だからこそ準決勝、決勝の苦しい展開を我慢できた。まだ実感はないけど、うれしいですね。今回は状態も良くて、自信もあった。獲れるんじゃないかなと思っていたけど、でもまさか本当に獲れるとは……。