こだわりすぎた男たち Vol.11 金田 勉「このラケットがなくなったら卓球人生は終わり」

[ようこそ卓球地獄へ/妄想卓球スパーク!]2011年世界選手権ロッテルダム大会・妄想観戦記
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第3章 妄想卓球スパーク!>より <その31>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
「なんですって?」劉国梁は耳を疑った。「聞こえなかったのか。ドイツに勝ちを譲れと言っているのだ」
東日本大震災の後もしばらくは世界選手権には行くつもりでいたのだが、思いのほか余震が続いているため、泣く泣く中止を決めた。無理に行こうとすると今度は家庭内のプレート歪が大きくなって大地震につながるので、ここは細心の注意を払いたい。ウェブ速報のタイトルも『ロッテルダムの裏通り・ポポポポ~ン速報』と決めていただけに残念である。
悔しいので世界選手権に行ったつもりで妄想観戦記を書くことにした。考えてみるとこれならば交通費も宿泊費もかからないばかりか、大会を待つ必要すらなく一石三鳥である。ということで以下妄想。
──世界卓球史に類を見ない異例づくしの世界選手権大会だった。男子シングルスでの水谷の優勝、岸川の準優勝をはじめ、日本選手がベスト8を独占したのだ。六人しか出ていない日本選手がどうやってベスト8を独占できたのかといえば、他国の選手全員がルール違反で失格になったからだ。