こだわりすぎた男たち Vol.13 駒木根 保良「ペン表は飛びすぎなくて軽い用具がいい」

[ようこそ卓球地獄へ/妄想卓球スパーク! 2012年世界選手権ドルトムント大会・妄想観戦記
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第3章 妄想卓球スパーク!>より <その32>
.jpg)
Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
「なんですって?」劉国梁は耳を疑った。「聞こえなかったのか。ドイツに勝ちを譲れと言っているのだ」
2008年広州、2009九年横浜、2010年モスクワに続き、現地速報要員として編集部と帯同した私は、連日の日本チームの頑張りをよそに、その舞台裏で人知れず孤独な戦いを繰り広げていた。その独り相撲とも言える妄想的戦いのレポート。
最初に異変に気がついたのは、男子グループリーグ第2戦のポーランド戦だった。2番の岸川対フローラスの第5ゲーム、岸川7−6フローラスでフローラスがタイムアウトを取った……はずだったが、コートサイドのスコアはなんと5−7でゲームカウントは0−2。メ、メチャクチャだ。電光掲示板が別にあるから良いようなものの、わけがわからなくなったらどうするのだ。見ればスコア係の青年は平然としている。続く3番の吉村対スッフでもスコアやゲームカウントの間違いが頻発。一体何が起きているのだ。スコア係の横に回ってみた私は驚いた。なんとこやつ、机の下でパソコンをいじって「内職」していやがるのだ(トホホ)。続く四番の岸川対ゴラクでは……ひーっ、ゲームの合間に電話してる~っ(泣)。なんでこんな奴が世界選手権でスコア係をしているのだ? 結局、日本はポーランドに負けたが、コイツの異常な仕業が影響していなかったとは誰が言えよう。