[用具の18のタブーに迫る①]重いラケットで打つとボールは重いのか

[ようこそ卓球地獄へ/妄想卓球スパーク!]小説 勉強やらせて
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第3章 妄想卓球スパーク!>より <その33>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
受験料もお小遣いでは払えそうになかった。それで卓也は父に打ち明ける決心をしたのだ
「ただいま」卓也が帰宅すると、会社から帰ったばかりの父の隆文が夕食を食べていた。「今日の練習はどうだった? 翔くんには勝てたのか?」「うん」中学のときから通っている卓球教室のことだ。だが、卓也は練習をさぼっていた。今日だけではない。実のところ、もう3週間も教室には行っていない。
「翔くんあたりに勝ったり負けたりじゃ、どう頑張ってもいい大学に入れないぞ。お父さんが高校生のころは一日8時間は……」「お父さん」卓也は夕食に手もつけずに切り出した。「実は試験を受けたいんだ」「そうか。やっとやる気出したか。何の試験だ? フットワークか? 素振りか?」「それが……物理の試験なんだ」突然のことに隆文は面食らった。「物理ってお前……勉強のか?」「うん。実は……勉強クラブに入ったんだ……」