世界卓球ドーハの舞台裏・前編「同士討ちで響き渡る歪んだ声援」

世界卓球ドーハの舞台裏・後編「TTRは選手にどのような影響を与えたのか?」
灼熱の太陽に負けじと、連日熱い戦いが展開されたドーハ大会。観客席を中国の女性ファンが埋め尽くし、大会の閉幕後も「場外戦」が繰り広げられた。現地からの舞台裏のニュースをお届けしよう。
Text by
柳澤 太朗Taro Yanagisawa
世界卓球で初採用されたTTRは選手にどのような影響を与えたのか?
史上初めて『VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)』のシステムが導入されたドーハ大会。システムの名前は『TTR(テーブル・テニス・レビュー)』。24年ITTF混合団体ワールドカップの最終日や、今年4月の男女ワールドカップでも採用され、今大会で世界卓球にもお披露目となった。

レビューが要求できる項目は決まっており、エッジやネットなどの確認を除いて、ほとんどがサービスに関するもの。最低16㎝というトスの高さやトスを上げる角度、サービス中のボールの視認性(隠れていないか)などだ。他の多くのスポーツと同様、選手は1試合で2回までレビューを要求でき、成功すればレビューの権利は2回のまま。失敗すると1回に減り、2回失敗すると権利を失う。

このレビューは、審判からの判定に対して使うだけでなく、選手が対戦相手のサービスに対してレビューを要求することもできる。女子シングルス3回戦では早田ひな選手がマテロバ(チェコ)に対し、4ゲーム目の0−1の場面で「サービスが隠れていて見えない」とレビューを要求し、フォルトと認められた。早田選手は事前に映像でマテロバのサービスが「かなり隠れている」ことをチェックしていたという。