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目覚めよ!カラダのポテンシャルVol.4①「動き出しの1歩、どう動く? 効率的な動き方『抜重(ばつじゅう)』」

モデル・監修:山崎真吾 model and supervised by Shingo Yamazaki

モデル:竹須学 model by Manabu Takesu

 マスターズプレーヤーを中心に、体の効率的な使い方を伝授するこの企画。今回のテーマは「抜重(ばつじゅう)」だ。聞き慣れない言葉だが、実はすばやく無駄なく、効率的に動くうえでの「スーパー鉄則」。動き方の基礎のすべてがここにある!

試合でよく見る、こんなフォアドライブ。フォアへ1歩で動いてツッツキを打つ時、体が傾き、打球点が下がってしまう……

動いた時に体が大きく傾き、持ち上げるようにスイング

 相手のツッツキが自分のフォアサイドに来て、それを1歩動いてフォアドライブで打つ時、上連続写真のように右肩(右利きの場合)が下がり、体が大きく傾いてしまう人をよく見かけます。このようなケースでは右足を1歩動かす前段階で、一度体重が左足に乗ってから右足を出しています。これだとボールをとらえる打球点が下がってしまい、持ち上げるようなスイングになって威力も出ません。

動いても体が傾かず、早い打球点で力強くスイング

 一方、上連続写真は同じようにフォアサイドへのツッツキに対して、1歩動いて打つフォアドライブですが、早い打球点をとらえ、力強いスイングで威力のあるボールを打つことができています。体のバランスも崩れていません。
 下写真の王楚欽選手(中国)も、フォアサイドへのボールにすばやく動き、早い打球点でパワードライブを打っています。「すばやく動いて威力が出せる」体の使い方には、一体どのような秘密があるのでしょうか?

王楚欽(中国)はフォアサイドへのツッツキに対し、打球点を落とさず、威力あるフォアドライブで攻撃。打球後も体勢が崩れていない

これが「抜重」の手順のスーパー鉄則。進行方向の足を抜き、反対側の足で押し出して「スッと落下する」ように動く!

フォアサイドへの「抜重(ばつじゅう)」での動き(下写真に続く)

 上連続写真での、フォアサイドへの1歩の動きに注目してください。まず体幹を体の行きたい方向へ方向付けする先行動作を行ってから(❶)、❷で右足の支えを外し、同時に反対の左足で押し出します(❸)。このような順番で動くことで、フォアサイドへより速く、体幹が安定した状態で移動できます。これが中国武術や日本の古武術で用いられ、他のスポーツでも特に動き出し(初動)の基本になっている「抜重(ばつじゅう)」の動き方。イメージとしてはスッと「落下する」ような動きです。

 動き出しの段階では、下写真のように体重が一度左足に乗ってから「よっこいしょ」と右足を出す方が多いと思いますが、こうすると時間がかかり、体が上下動しやすく、体幹部も安定しません。「抜重」を使うことでスムーズに、すべるように動くことができるのです。

フォア側へ移動する時、先に左足に体重が乗ってから左足で蹴(け)って動こうとすると、写真のように体が浮き上がり、着地した時に体幹が不安定になる

《目覚めよ!カラダのポテンシャルVol.4②に続く》