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目覚めよ!カラダのポテンシャルVol.4②「動き出しの1歩、どう動く? 効率的な動き方『抜重(ばつじゅう)』」

モデル・監修:山崎真吾 model and supervised by Shingo Yamazaki

モデル:竹須学 model by Manabu Takesu

 マスターズプレーヤーを中心に、体の効率的な使い方を伝授するこの企画。今回のテーマは「抜重(ばつじゅう)」だ。聞き慣れない言葉だが、実はすばやく無駄なく、効率的に動くうえでの「スーパー鉄則」。動き方の基礎のすべてがここにある!

バックサイドへの移動も「抜重」の順番は同じ。体の上下動がなく、速く動けて安定して打てる!

 抜重を使った動き方は、フォアサイドへ動く時だけでなく、前後左右、どこへ動く時にも応用することができます。
 下連続写真はバックサイドへの移動。まず体幹で方向付けをした後、フォアサイドとは逆に左足の支えを抜き、反対側の右足を押し出して動きます。バックサイドへすばやく動けて体幹にも力が入りやすく、安定して威力あるバックハンドを打つことができ、そこからの戻りも早くなります。
 また、反対側の足で押し出す時は、足だけを使うのではなく「体幹スイッチ」(6月号p.144〜149)の紹介の際に説明した、「みぞおちから下方向へグッと力を入れる」ことを意識してください。

バックサイド(右利きの左側)へ1歩で動く時は、まず体幹で方向付けをしてから、左足の支えを抜き、反対側の右足で押し出す

「抜重」は移動の開始が早く、打球点を落とさずに打てる!

 上連続写真は、抜重でフォアサイドに動いた時(上段)と、左足を使ってから動いた時(下段)のスイングを比較したもの。下段のように動き出しで左足を踏んでから移動が始まると時間がかかるうえ、着地してから「タメて」打つ順番になり、打球点が遅れがち。体が上下動しやすく、低い姿勢の移動に比べてスピード自体も遅くなります。
 一方、上段のように抜重を使って打てば、移動の開始が早く、体が浮き上がることもありません。体幹に力が入れやすく、移動後はもちろん、右足が着地する前の空中でも打つことができます。
 下連続写真は、樊振東選手(中国)が抜重でバックサイドに移動しながらバックドライブを打ったプレーです。移動してからタメてバックドライブを打っていたら、この早い打球点で打つことはできないでしょう。

「抜重」でバックサイドに移動しながらバックドライブを打つ樊振東。打球点を落とさずに威力あるボールを打っている

コツは「落下する」感覚、移動する方向の足を抜く。「抜重」を体感するトレーニングを紹介!

 下で紹介しているのは、支えを抜いてその方向へ移動する抜重の感覚をつかむためのトレーニング。横を向き、片方の手を壁などについて寄りかかった状態から、その手を抜いて着地します。「先に体が倒れ、後から足がついてくる」感覚です。このトレーニングは、「イスに座る途中」をイメージして関節から体を曲げた「パワーポジション」の状態でも取り組んでみてください。壁を使って「抜重」の感覚に慣れてきたら、壁のない状態でパワーポジションを作ってから、行きたい方向の足を抜き、反対側の足も使ってするトレーニングにも挑戦しましょう。(※トレーニングはいずれも左右両方で実施)

横向きで柱や壁に手をついて寄りかかり、手を抜いて壁に近いほうの足で着地する
股関節から体を曲げた「パワーポジション」を作り、柱や壁に手をついて寄りかかった状態から、手を抜いて着地する
壁を使わず、パワーポジションの状態から行きたい方向の足を抜いて反対側の足にタッチし、着地する。頭を左に動かさずに体を倒し、体幹から足に向かって力を入れる感覚がつかみやすい