
水谷隼&平野美宇の本音トーク・後編「オリンピックは緊張しますが、その緊張感が楽しいんです」(平野)
卓球王国2025年7月号【水谷隼&平野美宇の本音トーク 後編】
水谷隼と平野美宇の本音対談の後編。トークはメンタルの話から卓球へのモチベーション、卓球仲間との関係性にまで及んだ。世界を目指す人の話は奥深い。

Interview by
今野昇Noboru Konno
写真=中川学 ヘアメイク=片山智恵子(HMC Inc.)協力=木下グループ卓球部
オリンピックは毎回、「これが最後になるかもしれない」と本気で思っている(平野)
●ー平野さんは悩みごとはありますか?
平野 悩みではないけれども、聞いてみたいことがあります。東京のオリンピックで混合ダブルスの金メダルを獲った時、3︱3の最終ゲームに入る時に、「金メダルを狙うぞ」という気持ちだったのか、それともあえて金メダルを気にしないようにしたのか?
水谷 決勝の最終ゲーム、8―0とリードした時に少し思った。それまでは1㎜も考えていなかった。
平野 そうなんですね。ひたすら集中していたのですか?
水谷 金メダルを考えた瞬間にまくられる。意識した瞬間に空気が変わるよね。
平野 わかります。なぜでしょうか。
水谷 油断じゃないけど、意識した瞬間に空気が変わり、流れも変わる。オリンピックの混合ダブルス、準々決勝のドイツ戦では最終ゲームが2―9、6―10から逆転勝ちした。ということは、その逆もあり得る。決勝の8―0であっても油断しないし、勝ったとは思わなかったけど、ゴールが近いなとは思いました。しかし、8―0からの1本が重かった。あれが混合ダブルスだから良かったんです。2人で半々にできるけど、シングルスだともっと重く感じたと思います。