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性能とマーケティングの融合から生まれた巨星[ヴェガ ヨーロッパ]

「卓球グッズ2020」[ロングセラーモンスター]

なぜ彼らは怪物ラバーになったのか

卓球市場では毎年のように商品が発売されて、そして消えていく。その中で長くユーザーに愛されるロングセラーのアイテム。
50年の間、売れ続けている『マークV』。10年間、中級者の支持を得ている『ヴェガ』。
発売してから9年経つが、2015年から用具ランキングで1位をキープする『ファスタークG-1』。
ロングセラーを続ける商品が怪物になった理由とは何か。
それは必然だったのか、偶然なのか、巧妙なマーケティングなのか。

写真=江藤義典

ヴェガ ヨーロッパ

●スピン系テンション裏ソフトラバー
●¥4,400(2020年)→¥5,2800(2025年/税込み)
●2009年11月発売

2008年の『テナジー』発売を追いかけるように2009年に驚きの価格で発売された『ヴェガ』

 2008年、XIOM(エクシオン)のフィリップ・キム社長はドイツのラバー製造会社ESNのゲオルグ・ニクラス社長と日本の静岡の温泉地にいた。保養のために訪れたはずなのに、朝から晩までラバーの話ばかりしていた。

 その年、卓球界での大きな出来事は、9月からのスピードグルー禁止と、そのルール変更前の4月に発売された『テナジー』(バタフライ)の登場だった。『テナジー』はグルー禁止後に爆発的なヒットを予感させる全く新しい性能を持ったラバーだった。

 『テナジー』の特徴は、「スプリングスポンジ」という気泡の大きいスポンジと回転力。グルー禁止で失ったスピードを回転力で補った『テナジー』に注目が集まった。いわゆるスピン系テンションラバーの登場だった。

 静岡でフィリップ・キムは「テナジーの半分の価格で市場に新しいラバーを投入したい」と言い、作る側のESNのニクラス社長は苦笑するだけだった。「利益率を落としてでも、新しいラバーで一気に市場のシェア(占有率)を奪っていく」とフィリップは対テナジーのマーケティングを本気で語っていた。

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