2027年1月の全日本選手権はジュニアを分離。一般と離れ、兵庫で開催

17カ月間、世界の舞台から姿を消した男──カナック・ジャー、再び光の中へ
卓球王国独占記事

Text by
楊彩乃Ayano Yo
17カ月の空白とその重み
8月のWTTチャンピオンズ。横浜の会場に響く歓声。
勝利の瞬間、カナック・ジャーは笑顔を見せ、観客に手を振った。
「最高の気分です。今回のチャンピオンズに来るときは、まずは1回戦突破を目標にしていました。それが叶っただけでなく、今日はさらに強い相手に、自分の持てる力をすべてぶつけられた。本当に特別な勝利です」。
しかし、この晴れやかな表情にたどり着くまでには、想像を超える試練があった。
2022年12月1日。
カナックは17カ月間の出場停止処分を受けた。理由はドーピング検査の「所在情報提供義務違反」。
「何度も陰性の検査を受けていましたが、規定上3回の検査欠席があれば違反とみなされます。自分は欠席ではないと争いましたが、最終的には“欠席”として扱われました」