呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
The Final 全日本卓球2024 女子シングルス決勝「早田のV走」
卓球王国2024年4月号掲載
独走、早田ひな2連覇、3回目のV
1月28日15時。女子シングルス決勝のコートに立ったのは早田ひなと張本美和だ。片や、昨年度大会で3冠、今大会では女子シングルス2連覇を狙う女王。片や、女子シングルス最年少優勝記録の更新を狙う、新進気鋭の15歳。平野美宇と伊藤美誠による五輪代表選考レースが注目を集めた今大会だが、決勝はフィナーレを飾るに相応しい一戦だった。
両者は昨年11月の全農CUP(第6回パリオリンピック選考会)決勝で対戦。張本が公式戦では8連敗と乗り越えられない壁だった早田を4−2で破り、初勝利を挙げている。
およそ2カ月ぶりのリベンジマッチ。試合の大きなポイントは1ゲーム目だった。
互いの出方をうかがうように5−5まで競り合った後、張本はサービスを出す立ち位置をバックからフォア、ミドルと変えて早田を揺さぶりながら、ミドルへのボールを思い切って威力あるフォアドライブで攻め、9−5とリード。しかし、早田は9−9に追いつくと、ここでサービスのトスの高さを変え、ボールを高く投げ上げるハイトスサービスを2本連続で使う。
ミドルからフォアに曲がってくる、早田のハイトスサービスに対し、張本はレシーブのタイミングが変わり、一瞬迷いが生じたように見えた。1本目はフォアで軽く合わせたレシーブがネットミス、2本目はフォアツッツキがオーバーミス。鮮やかな6点連取で逆転し、拳を固めた後、笑顔を見せてベンチへと戻る早田。