呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
The Final 全日本卓球2024 「晩成の絶対女王」早田ひな
卓球王国2024年4月号掲載
技術で抑えられる試合は全部技術だけで戦っていこうと思っていた。
『技術だけで勝負していく』というのが今大会のテーマでした(早田ひな)
決勝の4ゲーム目の終盤、早田ひなは終始笑顔を浮かべながら戦っていた。
そして10−7でチャンピオンシップポイントを握った時の、満面の笑顔には驚かされた。「魔物が棲む」という全日本選手権のシングルス決勝で、「あと1本で優勝」という場面で、あのような笑顔を浮かべた選手がいただろうか。
輝くように眩い笑顔を前に、魔物はその尻尾すら見せることなく退散した。
優勝インタビューで早田は大会を振り返り、「1本、1ゲームを楽しんで試合をしました」と語っている。昨年、3種目で17試合を戦った全日本で、今年は6試合のみ。女王は決勝の舞台さえも心の底から楽しみ、予想より早く訪れたゲームセットが名残惜しそうにさえ見えた。
女子シングルスの6試合で、早田が落としたゲームはわずか1ゲーム。6回戦の芝田沙季(ミキハウス)戦の2ゲーム目を「6−11」で落としただけだ。芝田戦では3ゲーム目と4ゲーム目もジュースになったが、ジュースに持ち込まれたのも大会を通じてこの2ゲームしかない。
決勝をストレートで制したのは、女子シングルスではちょうど10年前、平成25年度大会の石川佳純以来。21歳の石川は溌剌たる連続攻撃で対戦相手を圧倒したが、23歳の早田が今大会で見せたプレーは実に「懐」が深かった。
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