【アーカイブ/Another Story】荻原典和/新しき目標を胸に戦う33歳、現役日本リーガー
卓球王国2016年6月号掲載[アナザー・ストーリー/荻原典和]
[Another Story 疾走するアスリートたち]荻原典和(JR北海道)*見出しの33歳は2016年当時です
おぎはら・のりかず
1982(昭和57)年5月5日生まれ、北海道出身。
小学1年生で卓球と出合い、円山クラブ時代に全日本カブの部、ホープスの部、カデットの部、全中でベスト8の成績を残す。仙台育英高に進学し、インターハイ学校対抗準優勝、シングルスベスト16。大正大を卒業し、現在はJR北海道の監督兼選手としてチームを牽引。右シェーク両面裏ソフトドライブ型

Text & Photographs by
渡辺友Tomo Watanabe
すごくホッとしたというか力が抜けたような、そんな気分でしたね
2016年3月17日。東京選手権、男子サーティ表彰式。荻原典和は表彰台のてっぺんで、いつもより少し高い景色を見渡しながら、安堵感に包まれていた。
『優勝できて良かった……』
さかのぼること東京選手権から5カ月。荻原は、今までにないほどの悔しさを味わっていた。初めて挑んだ全日本選手権(マスターズの部)で優勝を逃し、ベスト4に終わったのだ。強豪ひしめく大会とはいえ、現役の日本リーガーとして簡単に負けるわけにはいかない。そんなプレッシャーが重くのしかかってしまった。「ラリーが続く年代別の戦い方はわかっていたつもりですが、とにかく何本も返ってくるのでしんどかったし、相手の選手も本当に強かった。でも、優勝を狙っていたので……。あんなに試合で悔しい思いをしたのは、初めてですね」。
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