大藤沙月 ライジングスター「ネガティブになっている時間がもったいない」
[ようこそ卓球地獄へ/たまには真面目な卓球論]ある中国人指導者
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第5章>より <その47>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
OBから紹介されたのは閻立宗という22歳の小柄な若者だった。どう見てもただの高校生にしか見えない
あれは2002年の夏だった。私の母校である岩手県立水沢高校がインターハイでベスト16に入った。それまでどうしても県優勝できなかったのが、いきなり全国ランク入りだ。聞けば、OBが中国からコーチを雇ったという。そんな急に強くなる指導方法があるのだろうか。あるとすれば、いったい何が違うのか。これは絶対に確かめなくてはと思い、私は録音機を持って母校に向かったのだった。
OBから紹介されたのは閻立宗(イェン・リゾン)という22歳の小柄な若者だった。どう見てもただの高校生にしか見えない。こりゃたいした話は期待できないなと思ったが、そういう私も、何のあてもないのに「卓球雑誌に載せます」などと言ってインタビューしたのだからほとんど詐欺(さぎ)である(卓球王国で連載を始める2年も前なのだ)。

