「荻村伊智朗」という生き方「卓球選手として素質がない」と言われた
[ようこそ卓球地獄へ/たまには真面目な卓球論]卓球選手の運動能力
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第5章>より <その51>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
私は、焼肉を食いたくてはやる彼らの箸を止め、しつこくその点を問いただした
卓球王国編集部の仲介で、シチズン卓球部(日本リーグ1部の強豪チーム)の方々と会食をさせていただいたことがある。来てくれたのは、並木佑介氏、田中満雄氏、森田侑樹氏、久保田隆三氏の四選手だ。意外にも彼らは私のコラムの熱心な読者であり、ちょっとしたマニアなのであった。経験上、私のコラムに反応するような理屈好きに卓球が上手な人は少ないため(失礼だが本当なのだ)、嬉しい驚きであった。
彼らと会うにあたってぜひとも聞いてみたいと思っていたのは、彼らの運動神経だ。現代の日本の中学校では、卓球部に入る人は必ずしも運動が得意な人ばかりではない。いや、はっきりと苦手な人が多いだろう。かくいう私も卓球以外のスポーツで他人より活躍したことと言えば、ドッヂボールで見ていない方向に投げるのと、体育の授業のプールでの鬼ごっこで隅に潜ってじっとしていて最後の一人に残ったことぐらいである(スポーツか?)。同僚の卓球部員たちを見まわしてみても、体育の時間に目立つような人はほとんどいなかった。

