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全日本優勝インタビュー 張本智和「持っているものすべてを出し切って戦うしかない」[前編]

内容を見ればまだまだダメですね。それでも勝てた、優勝できたという事実だけでも、うれしかったです。14歳の初優勝から6年ですから長かったです。

卓球王国2024年4月号掲載

世界ランキングで他の日本選手を大きくリードし、トップランカーとして走り続けている張本智和。 その一方で、国内最高峰の全日本選手権では苦汁をなめる年月が続いていた。  カタールからの帰国翌日に始まった今大会。張本は挑戦者たちの猛攻を正面から受け止め、弾き返した。  長く後世まで語り継がれるであろう戸上隼輔との決勝を前にして、張本は何を思っていたのだろうか。

Interview by

中川 学Manabu Nakagawa

写真=中川学 photographs by Manabu Nakagawa

「全日本チャンピオンとはどういうことなのか、
2回獲ってもぼくにはまだよくわからないんです」

 絶対王者の水谷隼を破り、14歳6カ月で史上最年少優勝を決めた少年が、その後6年にわたり「全日本チャンピオン」の呪縛に苦しむことを誰が想像できただろうか。
 天皇杯を手にすることで称えられて話題になる選手がほとんどの中で、張本智和は勝利だけではなく、敗北が大きく取り上げられる数少ない選手だ。そして皮肉にも五輪や世界卓球で活躍すればするほど、全日本での重圧が背中に重くのしかかってくる。
 初優勝から6年、20歳で迎えた今大会で、張本は日本の卓球史に語り継がれるであろう戸上隼輔との激闘を制し、6年ぶりに天皇杯を掲げた。

●─6年ぶり2度目の全日本チャンピオンになりました。大会前はどのように考えていましたか?
張本智和(以下・張本) 全日本は6年も優勝できていなかったので、今大会は内容よりも優勝できればなんでもいい、ただただ優勝できればと思っていました。きちんとした内容で勝つのが一番いいんですが、接戦を乗り越えて優勝できたことは本当にうれしいです。
●─全日本の直前までカタールでWTTの連戦が続いていました。帰国はいつですか?
張本 大会の開幕前日の1月21日に帰国しました。帰国して数日間は時差ボケもありましたし、WTTと全日本はボールも違いましたが、それでも決勝の戸上さん(隼輔/明治大)までは行けるという自信はあったので、カタールでのWTTもコンテンダーまで出ることを決めました。
●─シングルスの組合わせはカタールで確認したと思いますが、どう感じましたか?
張本 決勝は戸上さんが高い確率で上がってくると思っていましたが、それまでは誰が来てもおかしくないと思っていました。
 初戦の4回戦の山には結構強い選手が固まっていたので、4回戦はたぶんこの選手、5回戦はこの選手という感じで誰が勝ち上がってくるのかを一つひとつ想定していました。
●─スーパーシードの選手にとっては、初戦である4回戦がひとつの鍵になると聞きます。
張本 そうですね、難しいです。今大会を振り返ってみると、一番きつかったのは戸上さん、次が宇田さん(幸矢/明治大)、その次が木造さん(勇人/関西卓球アカデミー)との試合でした。木造さんは打球点が早くて、バックハンドがすごかった。1ゲーム目を7-2のリードから逆転されて落として、2ゲーム目は7-3から10オールに追いつかれて、これはマジでやばいと。でもそこを取り切ってからは気持ちが楽になりました。
●─初戦を切り抜けて、5回戦で萩原啓至(愛工大名電高)を4-0、6回戦で丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)を4-1で下し、準々決勝に進みました。
張本 今大会は初戦から準決勝までの相手が全員左利きでしたが、木造さんの試合を乗り越えてから、左利きとの戦い方をインプットできたと思います。木造さんとの苦しい試合があったからこそ、萩原や丹羽さんとの試合は良い準備ができました。

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