Top of Asia 張本美和・後編 『私は勝っても負けても、しっかり相手の顔を見て握手するようにしているんです』
Tリーグを語ろうか。「Tリーグ構想」を夢で終わらせないでほしい。
2024年6月号掲載
Text by
中川 学Manabu Nakagawa
写真=中川学 photographs by Manabu Nakagawa07
地域密着のブンデスリーガからTリーグが学ぶべきものとは
2018年にスタートしたTリーグが6シーズン目を終えた。 Tリーグが誕生したことで選手やコーチの活動の場が広がり、卓球経験者以外のファンが増えるなど、 その功績は大きい。一方で、Tリーグが掲げている“構想”については手つかずの状態が続いている。
Tリーグが発足時から掲げている“Tリーグ構想”はオフィシャルサイトに次のように掲載されている。 「日本に存在する複数の卓球チームが参加するリーグ構想です。この構想では、Tリーグには、世界トップレベルの選手を擁するチームから、趣味でプレーする地域のチームまでが、各カテゴリーに分かれて存在します」(原文ママ) 6シーズン目を終えたTリーグは、自らに課した構想をどのように受け止めているのだろうか。 “Tリーグ構想”の中にも記されているが、Tリーグがモデル(参考)にしたのはドイツのブンデスリーガだ。古くからクラブスポーツが定着しているドイツと、学校、クラブ、企業など多様なカテゴリーが混在している日本が、ブンデスリーガの仕組みをそのまま取り入れてリーグを「一本化」させることは現実的ではない。 しかし、サッカーのJリーグのように学校スポーツとは別に、クラブスポーツとしてリーグの裾野を広げていくことは可能だ。1993年に「Jリーグ」として10クラブで開始した同リーグは、1999年に「J2」、2014年に「J3」が創設され、2024年現在で41都道府県に60クラブが登録されている。 Tリーグは2018年に男女4チームでスタートし、2021年に九州アスティーダ、2022年に京都カグヤライズが女子に加入。2023年に静岡ジェードと金沢ポートが男子に加入し、2023︱2024シーズンは男女6チームになったが、発足当時に語られていた2部、3部リーグについての動きはない。Tリーグ構想は夢で終わってしまうのだろうか。