呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
The Final 全日本卓球2024 張本智和「雄叫びなき王者」
卓球王国2024年4月号掲載
魔物がいるということは神様もいると思う。今日は戸上選手に魔物がいて、ぼくに神様がいたのかもしれない
この熱狂を永遠に感じていたい。呼吸も、瞬きも忘れるほどの激闘を前にして、観客もまた覚醒していた。 78点対78点。男子シングルス決勝で対峙した張本智和(智和企画)と戸上隼輔(明治大)が、7ゲームを戦い終えて獲得した総得点数は見事に並んだ。この数字からもわかるように両者の戦いに優劣をつけるのは難しい。それは試合直後に互いの健闘を称えて抱き合った際に、張本が戸上にかけた言葉にも現れている。「1位も2位も、ぼくらの間には存在しない」(張本) 張本は優勝後のインタビューで決勝について次のように話している。「今日も戸上選手は完璧で、何をやってもだめで本当に強い。時の運で1点、2点、ラッキーもあったり、その差でいつも結果は出てしまうけれど、ぼくと彼は本当に同等でライバル。明日やったら彼が勝つかもしれないし、明後日やったらぼくが勝つかもしれない。それくらい良きライバルです」(張本) 「時の運」がありながらも僅差を制した張本。彼らの勝敗を分けたものは何か。