[プレイバック2021東京五輪]DAY7/7月30日・馬龍、男子では初、五輪史上3人目の連覇を達成
別冊卓球王国「東京五輪特集号」掲載
東京五輪 卓球競技
2021年7月24日~8月6日[東京体育館]
Coverage by
写真=柳澤太朗、レミー・グロス
photographs by Taro Yanagisawa & Remy Gros
4年に一度の五輪で連覇をすることはまさに偉業だ。
鄧亜萍(1992・1996年)、張怡寧(2004・2008年)に続く3人目で、男子では初の連覇となった。
オフチャロフ、大舞台での強さを発揮し、9年ぶりの銅メダルを獲得
<男子シングルス銅メダル決定戦>
オフチャロフ[ドイツ]4(13-11、9-11、6-11、11-4、4-11、15-13、11-7)3林昀儒[チャイニーズタイペイ]
再び五輪で輝いたオフチャロフ。精魂尽きる
前日の準決勝でそれぞれが激戦に敗れた林昀儒とオフチャロフ。「昨日の馬龍との試合、最後の1本ですべてが崩れた。父と妻に電話をしてこう言った。『もう絶対プレーできない、ラケットを握れない』。父は『次は勝てる。大丈夫』と言ってくれた」(オフチャロフ)。
銅メダル決定戦は一進一退の攻防になった。お互いがサービスを工夫してレシーブで先手を取らせない。しかし、6ゲーム目は10-9で林昀儒がマッチポイント。このゲームで4回のマッチポイントをオフチャロフはことごとくしのいだ。そして、勝負は最終ゲームへ。
オフチャロフが3-3から6連続得点で9-3として、11-7で勝利を決めた瞬間、ひざから崩れて喜びを噛み締め、すぐにベンチのロスコフ監督に駆け寄った。強靭なメンタルを見せたオフチャロフが、2012年ロンドン五輪以来、シングルスで2個目の銅メダルを獲得した。「林昀儒には3連敗していた。彼の卓球は素晴らしかった。ぼくにはこの4日間が5年のように感じられた。すべてがスローモーションのようだった。勝ったんだね。信じられないよ」(オフチャロフ)。
敗れた林昀儒は言葉少なに振り返った。「問題はぼく自身にあるんだ。戦略も戦術もうまくいっていた。ただ勝敗を分けた1回か2回の大事なポイントで得点できなかった。もっと自信を持つべきだった」。
タイペイの気鋭の若手と、百戦錬磨のプロフェッショナル。五輪の大舞台での勝敗を分けるのは、メンタル、技術、経験、それらすべて。
超人たちの苦しい夏が終わった。