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脱力なき卓球人生、その指先で削られた日中号【山本真理】

「別冊卓球グッズ2017」より掲載

非エリート集団、オークワ女子卓球部。その象徴とも言える山本真理が、2017年1月の全日本でラケットを置いた。社会人選手生活21年。彼女が握り続けた『日中号スーパー』の合板には、指の跡が、深く深く、刻み込まれている。その凹みからは、力を抜くことなく愚直に駆け抜けた山本の情熱がひしひしと伝わってくる。

Text by

高部大幹Hiromoto Takabe

写真=江藤義典

NEC九州時代に手渡されて以来、約17年間使い続けた初代『日中号スーパー』。
表面も裏面も、刃物ではなく指によって自然に削れていった

[やまもと・まり]
1977年11月19日生まれ、大阪府出身。白藤高(現・奈良女子高)卒。96年に阪和銀行卓球部に入部、NEC九州を経て、99年にオークワへ移籍。07年全日本社会人複ベスト8。09年ジャパンオープン荻村杯で決勝トーナメント進出。17年1月の全日本で、39歳にして現役生活にピリオドを打った

運命の1本との出合い。力が入りすぎる山本の手そのものとなった

 日本リーグで2部を中心に通算118勝をあげた山本が卓球を始めたのは、他の日本リーガーよりずっと遅かった。卓球経験者の母と兄の影響で、地元公立中の卓球部でラケットを握り始めた。

 7つ上の兄がかつて使っていた日本式ペンラケットで練習を始めた山本。しばらくしてドライブに挑戦したのだが、どうにもボールを擦る感覚がわからない。「自分にはドライブの才能がなさそうだ」。そう思った山本は、2年生から表ソフトに変更した。

 しかし振り返ると、ドライブの感覚が得られなかったのは非才ゆえと断言はできないだろう。何年も貼りっぱなしだった裏ソフトは、傷んでツルツルだった可能性が高かったからだ。表ソフト一筋で現役を終えたのが、正解だったのか否か。神のみぞ知るところだ。

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