呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
水谷隼、今明かされる「全日本の真実」。目が見えない中での苦しい戦い。10度目の優勝、そして「最後の全日本」
卓球王国2024年6月号 vol.13<最終回>
Text by
水谷隼Jun Mizutani
「ボールがまともに見えないのなら卓球をやめようか」と思っていた時期でもある
2018年1月に張本智和に敗れ、全日本連覇を阻まれた。その後の1年間、まず夏に目の手術をした。手術すればボールが見えるようになると思ったからこそ行った。
9月にTリーグ開幕戦があって、目もそんなには悪くはなかった。ところが、だんだん悪化していき、これは治らないと感じ始めていた。
その時には「ビジュアルスノウ」という病名もわかっていなかったし、これから先、全日本で戦うかどうかを決めていなかった。そもそもこの頃は「ボールがまともに見えないのなら卓球をやめようか」と思っていた時期でもある。
のちに全日本選手権優勝直後の場内インタビューで「全日本引退宣言」をするのだが、大会前ははっきりと決めていたわけではない。