戸上隼輔「オリンピックの傷は深いものがあって、オリンピックでしかその悔しさは晴らせない」
Looking back at Paris パリオリンピック日本男子インタビュー 戸上隼輔[井村屋グループ]
卓球王国2024年11月号掲載
パリ五輪は戸上隼輔に対し、勝利の喜びと自信を与え、同時に胸をかきむしるような悔しさを味わった大会となった。
大きな課題を突きつけられた戸上隼輔は自分を変えなければいけない。オリンピックに出るだけでは満足できない。戸上隼輔、胸にメダルを掛けるための4年間の旅が始まる。
Interview by
今野昇Noboru Konno
写真=レミー・グロス/ITTF
とがみ・しゅんすけ
2001年8月24日生まれ、三重県出身。全日本ホープス2位。中学2年で野田学園に転校し、高校2・3年のインターハイで2連覇。高校3年の全日本選手権で3位に入賞、全日本選手権では22年から2連勝を飾った。4月のワールドカップではベスト8。2021年世界選手権ヒューストン大会男子ダブルス、2022年世界選手権団体で銅メダルを獲得。井村屋グループ所属。世界ランキング17位(9月10日現在)
今後、『最後の1点の工夫、ひらめき』というものは絶対必要になってくる
大会前に「オリンピックの魔物になりたい」と言い放った戸上隼輔は魔物にはなれなかった。しかし、魔物に呑まれることもなかった。彼は実力で勝ち、実力で負けたと言えるだろう。競技開始の2日目、戸上は男子シングルスの初戦でユージン・ワン(カナダ)にストレート勝ちした。誰もがオリンピックでの初舞台は緊張する。サービスを出す手が震えて仕方がなかったという選手もいる。独特の緊張感は、それまでの世界選手権とは全く違うものだとみんなが口を揃える。