[今野の眼]「家庭が壊れてしまう」と嘆くプロコーチの憂鬱。優秀なコーチがいなければ選手は育たない
張本美和 「ここからの4年間は、長くて短い時間だと思っています」
Looking back at Paris オリンピック卓球最年少銀メダリスト 張本美和[木下グループ]
卓球王国2024年11月号掲載
16歳で挑んだパリ五輪女子団体。エースポジションに起用された張本美和は、準決勝のドイツ戦でこれまでに感じたことのない挫折感を経験した。 そこから這い上がり、中国に真っ向から挑んだ強さがパリでの財産になった。
Interview by
中川 学Manabu Nakagawa
写真=中川学、レミー・グロス/ITTF
はりもと・みわ 2008年6月16日生まれ、宮城県出身。 小学生時代に全日本選手権のバンビ・カブ・ホープスで優勝し、中学1年で全国中学校大会で優勝。 2021年世界ユース選手権ではU15で4冠を達成。2023年12月のパリ五輪選考会では、伊藤美誠、早田ひなを破って初優勝。初出場となったパリ五輪では女子団体で銀メダルを獲得。16歳での銀メダル獲得は五輪史上最年少。24年全日本選手権2位。右シェーク両面裏ソフトドライブ型、木下グループ所属。世界ランキング8位(2024年9月10日現在)
メンタル的には緊張しているんですが、プレーは大丈夫というか、そういう感じです
15日間に及んだパリ五輪卓球競技の最終試合となった女子団体決勝。 王者・中国に挑んだ日本女子は、トップのダブルスで張本美和(木下グループ)と早田ひな(日本生命)が、王曼昱/陳夢から最終ゲームに9―5とリードを奪った。だが、勝利を目前にしながらも「1本のサービスのあまさ」を中国ペアが見逃すことはなく、そこから逆襲。日本ペアは最後まで食らいついたが、わずかに及ばなかった。 表彰台で首に銀メダルをかけられながら、張本は4年後のロス五輪での金メダルを誓った。
●――パリ五輪では開会式に参加しました。 張本美和(以下・張本) 開会式については渡辺(武弘)監督から、「シングルスに出場する選手はすぐに試合があるので参加できないけれど、どうする?」と聞いていただいて、私は団体戦のみの出場だったので、「ぜひ開会式に出たいです」と伝えました。 船に乗ってセーヌ川を渡りながら、「とても素晴らしい開会式だな」と感激しました。他競技の選手ともお話することができて、とても貴重な時間になりました。 ●――大会前半の個人戦の期間は、どのように過ごしていましたか? 張本 まず、最優先として早田選手(ひな/日本生命)と平野選手(美宇/木下グループ)から練習相手を頼まれた時はそれを優先していて、お願いされなかった時は自分の練習をしていました。 ●――試合までのメンタルはどのように保っていましたか? 張本 先に先輩方や他の国の選手の試合を見ることができて、(五輪の)雰囲気を味わってから自分の試合を迎えることができたので良かったですね。 ●――早田選手、平野選手の試合を見てどのように感じていましたか? 張本 全部を観客席で見ることはできなかったのですが、先輩たちの気合の入っているプレーを見て、自分もそういった部分を見習って団体戦で戦いたいと思っていました。 他国の選手の試合を見て、オリンピックでは予想外の結果も多いという印象を受けました。普段の試合ならば勝っている選手が負けてしまったり、やはりオリンピックでは何が起こるかわからないなと感じていました。 特に平野選手と申裕斌選手(韓国)の準々決勝、早田選手と申裕斌選手の銅メダル決定戦はメダルにかける強い思いが伝わって、どちらもすごい試合だなと思いました。メダルを取ると取れないとではとても大きな違いがあるのだなと感じました。そうした試合を見て、自分の気持ちも上がって良い状態で団体戦を迎えることができました。