
【PickUpプレーヤー】デフ卓球・亀澤史憲「デフ日本男子を牽引。強化と普及の両輪で活躍」
卓球王国2025年4月号掲載
2013年デフリンピック団体9位、20年全国ろうあ者選手権優勝、22年デフリンピック団体3位・混合複ベスト8、23年世界ろう者卓球選手権団体3位

3度目のデフリンピックに挑む。日本男子チームの顔
デフ卓球(ろうあ者卓球=耳の不自由な方の卓球)の日本男子を、長年牽引しているのが亀澤史憲だ。
1993年、山梨県生まれの亀澤は、中学1年時にろう学校で卓球を始めた。「山を駆け回る子どもだった」という亀澤はスポーツ好きで、卓球も自然と上達していった。高校2年時に初めて全国ろうあ者卓球選手権に出場して5位入賞。それ以来、国内トップクラスをキープしている。
初の海外大会出場は、20歳時の2013年デフリンピックだった。「海外選手は生活のためにプレーしていて、皆、気迫がすごく、メダルにかける思いが日本選手と違うことを実感した」という。
しかし17年のデフリンピックには、全日本ろうあ連盟スポーツ委員会が定める規定により、女子選手のみの派遣となり、悔しい思いをした。そして久々に臨んだのが22年デフリンピックだった。
「前評判で男子のメダルは難しいと言われる中、皆で『どの種目でもいいからメダルを獲りたい』と話し合い、団体戦で銅メダルを獲得できた。今までで一番印象に残った大会です」(亀澤)
そして今年(2025年)11月に地元・東京で開催されるデフリンピックの代表に内定した亀澤。「前回大会以上の結果を求めていきたい。加えて、大会前にデフ卓球自体を皆さんに知ってもらうことが大事だと思っています」と語る。現在は強化に取り組むかたわら、月3〜4回ほど、都内の小学校、中学校、高校などで、デフ卓球を普及するための公演を行っている。
「地元開催で、緊張する怖さと楽しみの両方がありますね。ぜひ、応援を力に変えていきたいです。代表選手の中でも、所属チームでの練習ができるのは2名のみで、私を含む多くの選手が練習拠点を持っていない。デフ卓球の発展のためには皆様のご協力が不可欠なので、デフリンピックをきっかけに、より多くの方にデフ卓球を知っていただきたいですね」
デフ日本男子の頼れる兄貴的存在であり、強化と普及に奔走する亀澤。亀澤ら日本選手の、東京デフリンピックでの活躍に、ぜひ注目してほしい。