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[ドーハの戦い]女子シングルス・準々決勝。世界卓球史初、日中激突 4vs.4

sekaitaku

卓球王国8月号掲載

 女子シングルス準々決勝はすべて日本選手と中国選手の対戦。これは99年間の世界選手権史上初めての出来事。1965年リュブリアナ大会の女子シングルスで、中国4人、日本3人というのが過去にあったが、ベスト8を2協会で4人ずつは初めてのことだった。これは現在の世界女子のトップ層が中国と日本で形成されていることを物語っていた。伊藤美誠は見事に王芸迪を破ったが、残りの3人は中国の壁を超えられなかった。

日本女子では唯一伊藤美誠が中国を破る。相手は王芸迪(手前)

史上初、2協会が4人ずつ準々決勝で対決

女子シングルス 銅メダル
伊藤美誠[日本]4ー1 王芸迪[中国]

王芸迪に1ゲーム目を奪われるもこの日の伊藤は違った。バックで対抗し、フォア強打を決め、4-1で勝利し、自身初の世界選手権でのメダル獲得。完全復活となった

勝利後に涙を流す伊藤美誠、笑顔の母・美乃り

惜しかった1ゲーム目。先制ならず 

女子シングルス ベスト8
早田ひな[日本]04 陳幸同[中国]

 パリ五輪で傷めた左腕が完治していない中での参戦となった早田は、ラリー戦での強さが際立つ陳幸同の攻守を崩せなかった。1ゲーム目を取り、試合の流れを引き寄せたかった。
試合後の早田のコメント。
「出せる技術は出せたけど、こうすればよかった、ああすればよかったという思いがあり、考えたけど出せなかったので悔しさもある。大きなラリー、台上からの駆け引きとか、私の3球目のミスも多かった。大きな大会では初めて当たる選手で、今までとは違うなと感じました。この域に来ると、自分が人間でいる以上は陳幸同に勝てない。自分が人間を越えていける、自分が怪獣のような強さを求めていけないといけない。陳幸同は崩そうとしても崩れない。変化をつけてもミスをしないし、自分のメンタルの課題は残った。
 これからは試合をどんどん目指していきたい。パリの自分に出合ったり、新しい自分を見つけるために、試合に出ていきたい。休む時には休むけど、卓球が好きなのでずっとやっているでしょうね。

 心技体すべてがそろっていないと中国選手には勝つことは厳しい。(伊藤)美誠が勝ってくれて、自分も勝てるかもしれないと思えた。今後とも日本の卓球界は切磋琢磨して、ライバルでありながら勇気をもらえるので、自分も表彰台に上がれるように頑張りたい]

陳幸同のラリー力の前に敗れた早田ひな

中国の壁の前に、張本美和の涙

女子シングルス ベスト8
張本美和[日本]0‐4  王曼昱[中国]

 それまでの対戦成績は王曼昱の5勝0敗。「全体的に言うと、すべての技術で勝てるものがなかったなというのが今日の印象です」「経験や試合運びの安定性がまだまだなので、これからも練習をして、試合をしての繰り返しなのかなと思います」と試合後に涙を流しながら語った張本美和。16歳のドーハの敗戦はほろ苦い経験となった。

王曼昱の強さの前に張本美和は刃が立たず
試合後、悔し涙を流しながらメディアに対応する張本美和

大藤、孫穎莎にあと一歩まで迫った

女子シングルス ベスト8
大藤沙月[日本]1-4  孫穎莎[中国]

 会場は100%のアウェー状態。「孫穎莎、加油!」の大声援の中、大藤は堂々と正面から打ち合いを挑んだ。1ゲーム目を先取し、孫穎莎を追い詰める局面が何度もあった。世界選手権初出場の21歳は3種目で光り輝いた。「4ゲーム目を5–1でリードしていて、このゲームを絶対に取らないといけなかったけれど、何をしても孫穎莎選手はミスをしてくれないんじゃないかという圧を感じて、自分にミスが出てしまった」(大藤)。坂本竜介コーチとのコンビはまだ始まったばかり。今後の活躍が楽しみだ。

初出場ながら孫穎莎に対し、堂々たるプレーを見せた大藤沙月。3種目で活躍した