1950年代の軍拡競争~スポンジ革命~〈その1〉前編
卓球王国2026年5月号掲載「The 1950s Arms Race』 1950年代の軍拡競争~スポンジ革命~〈その1〉より
卓球コラムニストで卓球史研究家として活動する伊藤条太氏が、アメリカの卓球史研究家による記事を翻訳し紹介。1952年世界選手権男子シングルス優勝の佐藤博治が使用した「スポンジラバー」が世界の卓球界に衝撃を与え、そこから巻き起こった「スポンジ革命」について、綿密な取材と調査にもとづき深掘りした興味深い内容となっている。
●卓球王国2026年5月号掲載〈その1〉の前編
Text by Steve Grant
Translated by Jota Ito

■Profile Steve Grant スティーブ・グラント
著書に『Ping Pong Fever、The Madness that Swept 1902 America』(2012年)がある。また、2023年9月に『TABLE TENNIS HISTORY』を創刊し、年に3冊のペースでインターネットで発表し続けている。


2015年2月号の表紙

オリジナルページ
私(伊藤)がアメリカの卓球史研究家、スティーブ・グラントのことを知ったのは、ITTF(国際卓球連盟)のWEBサイトに掲載してある『テーブルテニス・コレクター』という、年に3回発行されている会報でだった。当時私は、卓球王国の依頼で卓球の歴史マンガの原作を書いており、調査のためにその会報を閲覧していた。
コレクターという名前の通り、ラケットやボールなど用具のコレクションが中心の会報だったが、中には古い新聞や雑誌の記事などの文献を調査して発表している人もいて、そのひとりがスティーブだった。スティーブは卓球史を覆す重要な発見をいくつも発表していたため、私は感激のあまり会報に書いてあった連絡先にメールを出した。2018年のことである。以来、ときどき古い文献やら写真を見つけては紹介し、質問し合う間柄となっていた。
スティーブは、単に新事実を紹介するだけではなく、その発見の背景や意味するものをドラマチックに物語った。この度、そのひとつを卓球王国で紹介することを思い立ち、スティーブの快諾を得てここに発表する次第だ。
今号から3回にわたって紹介するのは、『テーブルテニス・コレクター』2015年2月号に掲載された、1950年代に日本から起こったスポンジ革命についての力作である。
第1回は、スポンジが登場した経緯と卓球界に与えた衝撃が、メーカーや選手たちの証言によって描写される。
〈伊藤条太〉

