【中国卓球春秋】世界王者・王楚欽が口にした偽らざる本音。「試合に楽しさを見出せない」
「巨石をうがつ」─王者中国を倒すまでの軌跡エースが背負った悔しさと覚悟─【アジア競技大会★取材ノート❶】
卓球王国2026年12月号 アジア競技大会★取材ノート 掲載
Text by
鱸 正人(日本経済新聞運動グループ記者)Masato SUZUKI
何度挑んでも届かなかった頂(いただき)。だが、積み重ねた一打は確実に巨石を削り続けていた。張本智和率いる日本男子が中国を破ったアジア競技大会団体戦決勝。その歴史的勝利の裏には、敗北を糧(かて)に進化したエースの軌跡があった。

中国の牙城に挑み続けた日々。積み重ねた「1本」
松島輝空が鋭いバックハンドクロスを放ち、温瑞博の返球がネットにかかる。コートの端の選手入場ゲートから戦況を見守っていた張本智和が全力で駆け出し、歓喜の輪ができる。1点ごとにスタンドから立ち上がり、選手を鼓舞していた中国チームのスタッフは肩を落とし沈黙した。
9月24日夜、アジア競技大会男子団体戦決勝。あまりにコントラストがくっきりしたスカイホール豊田の光景を目の当たりにし、脳裏に浮かんだのは「石をうがつ(Pound the Rock)」という格言だった。


