卓球マニア濃縮エキス[卓球天国の扉]〈その9〉偉いぞフジテレビ
卓球王国ブックス「卓球天国の扉」より 〈その9〉
卓球コラムニスト・伊藤条太氏による爆笑卓球コラム本『ようこそ卓球地獄へ』の続編である『卓球天国の扉』(2015年発刊)。あなたはこの一冊で「天国の扉」を開けることになる。 ☆卓球マニア濃縮エキス☆

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
第一章 卓球メジャー化大作戦
偉いぞフジテレビ
2012年の年末にフジテレビが放送した『とくダネ! 発 ディレクター魂~2012最後のスクープ~』が素晴らしかった。いくつかのスクープのひとつとして、水谷隼の補助剤問題の告発が取り上げられていたのだ。
冒頭、水谷により補助剤問題が語られた後、カメラは中国に飛び、杭州でのITTFワールドツアー・グランドファイナルの突撃取材となる。これが素晴らしかった。まずは福原愛、石川佳純に水谷の告発についてどう思うのか質問を浴びせるのだ。当然のことながら2人とも当惑し「それについては何も言えません」と言葉を濁した。
取材陣はその後、あろうことか馬琳に「ブースターが使われていることは知っていますか?」と聞いたのだ。卓球界で仕事をしている者なら恐ろしくてとてもできない仕業だが、さすが部外者のフジテレビだ。ムッとした顔で間髪入れず「知りません!」と言って去る馬琳だったが、否定文を語るのに自分に言い聞かせるようにうなずいていたのが皮肉であった。その後、丁寧に同じ質問をすると、それまで笑顔を見せていた表情があからさまに曇って静止画のように固まった後「……わかりません」と答えるのだ。その表情の変化の瞬間をスローで繰り返し再生するエグさはさすが民放だ。

