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[ワルドナー伝説]vol.22 第3章 5 予測不可能なワルドナー 

『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック。

Text by

イエンス・フェリッカJens Fellke

第3章 アウトサイド・ザ・コート

Outside the court

←vol.21 第3章 アウトサイド・ザ・コート  4 ワルドナー卓球の真髄

5 予測不可能なワルドナー

1997年世界選手権マンチェスター大会でのワルドナー

■「いつもプレーを変えてくるから、対策を立てようがない」と蔡振華監督

 97年の世界選手権マンチェスター大会で中国が準々決勝でスウェーデンを破った時に、中国の蔡振華監督は、中国チームがヨルゲン・パーソンとピーター・カールソン対策に多くの時間を使ったことを記者会見で明らかにした。

 「ワルドナーに対してはどうだったのか?」とひとりのジャーナリストがたずねた。

 「彼に対してはほとんど時間をかけてないね」と蔡振華は答えた。「彼は常に変化する選手だ。いつもプレーのやり方を変えてくるから、対策を立てようがないんだよ」

 ワルドナーのサービスは大きな大会ごとに変わり、決して同じサービスを出すことはない。また、86年のヨーロッパトップ12で勝利を重ねていった時にも、急に見事なバックハンドを披露して、相手を驚かせた。翌年、世界選手権のニューデリー大会で、彼はバックハンドドライブとバックハンドスマッシュの見事なコンビネーションを連発し、ペンホルダーの表ソフト速攻タイプに対して効果を発揮した。

 92年のバルセロナ五輪の決勝。コートの向こうのガシアンに対してワルドナーは、いくつかの新しいショットを披露した。それはガシアンのフォアサイドを切るサイドスピンのブロックであり、トップスピンをかけたカウンターのバックハンドブロックだった。俊足のこのフランス選手をもってしても、これらのショットで大きくフォアを突かれ、台から離されて、不利なラリー展開を強いられることになった。

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