
【アーカイブ石川佳純】「オリンピックに出るような人はみんなどこか痛いんですよ。動けるギリギリのところまで練習しているんです、みんなが」
卓球王国2016年12月号掲載[卓球の神に愛された三人娘 銅メダルの軌跡 石川佳純/全農]前編
石川佳純の2016年リオ五輪は悪夢の逆転負けから始まった。勝利に王手をかけながらもキム・ソンイのカットと攻撃の前に石川は沈んだ。
しかし一転、団体戦での石川は素晴らしいプレーで全勝。日本の2大会連続のメダル獲得に大きく貢献した。悔恨と歓喜が交錯した日本女子のリオ五輪。日本のエースは何を思い、戦ったのか。

石川佳純●いしかわ・かすみ
1993年2月3日生まれ、山口県出身。小学1年で卓球を始め、四天王寺中2年時の全日本選手権で史上最年少のベスト4進出、平成22年度全日本選手権で初優勝。世界選手権では09年大会でシングルスベスト8、14・16年大会で団体準優勝。12年ロンドン五輪では女子シングルスでベスト4進出を果たし、女子団体で日本に初の銀メダルをもたらした。2014年ITTFワールドツアー・グランドファイナル優勝、世界ランキング6位(2016年7月現在)
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6ゲーム目の途中です。足がつったのは初めてです
夢なら醒めてほしい。彼女はそう思ったのではないか。
リオ五輪の2日目、シングルス初戦(3回戦)で、石川佳純は敗れ去った。4年前のロンドン五輪では準決勝に進み、リオでもメダル候補と言われた世界ランキング6位の日本のエースはキム・ソンイ(北朝鮮)に屈した。前半から飛ばしていった石川は、3ゲーム目以降、ゲーム後半の競り合いでの展開を落としていった。飛ばしすぎた前半と中盤からの長いラリーのせいで6ゲーム目からは右足に異変が起きた。
1時間4分の死闘の末に力尽きた。呆然とする時間の流れの中で石川は何を思ったのか。
◇◇
●ーリオ五輪が終わって1カ月以上経ちました。
石川 メダルを獲ることができたので、ありがたいことに忙しくさせていただいています。イベントで初めてニューヨークに行ったり、ブロードウェイを観たりとか、今まで全くできなかったことをこの1カ月間いろいろできています。
4年前とは違いますね。4年前もすごく忙しくさせてもらって、20日間くらいはずっとイベントなどがあったんですけど、それが終わったらすぐに練習を始めましたし。今回はゆっくりする時間が前よりは増えたと思います。
●ーリオに入る前の調子は?
石川 調整は非常にうまくいっていたと思います。ケガもなく、病気もなく、うまくまとめられたのでいい形でリオに入れましたね。
●ープレッシャーは、ロンドンの時と今回では違いましたか?